安保ウォッチング 

自衛隊が[周辺事態]想定の演習実施

「東京新聞」(9月11日付)が一面トップで、「「周辺事態」へ初の図上演習--海自、朝鮮半島有事を想定」と報じている。

 時節柄、なかなか刺激的な「スクープ」である。

 この演習は防衛庁の事実上の機関紙「朝雲」(9月9日付)によれば、平成11年度(1999年度)の海上自衛隊演習(海演)の図上演習部分で、9月6日から9日まで、東京・目黒の海上自衛隊幹部学校で実施されたもの。

 参加したのは、山崎自衛艦隊司令官を訓練統制官として、海上幕僚監部、自衛艦隊、各地方総監部などの幹部自衛官約300人。

 演習について、「朝雲」は「情勢判断と部隊運用を演練した」としている。この点について、「海上自衛新聞」(9月3日付)は「情勢緊迫段階から我が国防衛に際しての海上諸作戦について」、「上級指揮官が情勢判断と部隊運用を訓練する」ものであり、幹部学校の「図演装置を使用」するとしている。

 「東京新聞」はこの演習の具体的な内容を報じたもので、それによれば、「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が軍事境界線を越えて韓国に侵攻し、米軍と韓国軍が応戦を開始。国会が「周辺事態」に基づく、自衛隊の活動を承認したとのシナリオで始まった」。

 この「周辺事態」のシナリオによる図上演習は今年、初めて実施されたもので、昨年は準備はしたものの、「ガイドライン法が未成立だったことから、直前になって従来の日本有事対応の演習に差し替えられた」という。

 この演習で、図上で実施された海上自衛隊の部隊の運用は、同紙報道から箇条書きすると以下のようなものが含まれていた。これは朝鮮半島が戦争状態にあるとの前提での部隊行動である。

 ○大型輸送艦「おおすみ」、護衛艦が、韓国からの「邦人救出」作戦のため出動

 ○イージス艦が弾道ミサイル探知のため日本海で待機

 ○掃海艇が日本近海での機雷を排除するため出動

 ○不審船に対して海上警備行動を発令

 ○北朝鮮に向かう外国船舶に対する臨検を実施(注・これはガイドライン法から修正によりはずされている)

 ○日本海に進出した米空母「キティホーク」など米第7艦隊の艦艇に海上自衛隊が物資を輸送、洋上補給を実施

 今年度の「海演」は、この「図上演習」と、10月27日から11月9日までの「実動演習」(自衛艦隊司令官の統裁する乙海演)から構成されており、実際に部隊を日本周辺海域で展開して行なわれる。また、演習期間中、米海軍第7艦隊などが参加する演習も実施され、事実上の日米共同演習となる。

 「東京新聞」はこの実動演習も、図上演習と同じシナリオで行なわれる「もよう」だ、としている。

 「戦争をもてあそんではならない」、というメッセージを発しつづけることが重要な時であると思われる。


         
         

松尾 高志


      

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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