安保ウォッチング 

自衛隊のC4I 強化--業務計画案と概算要求にみる

 防衛庁は8月31日の庁議で、2000年度(平成12年度)の「業務計画案」と、これにともなう「概算要求」を決定し、大蔵省に提出した。

 予算要求は、対年度比1.6パーセント増の4兆9995億円で、これに内閣官房予算として計上されている「情報衛星」の研究開発費827億円を加えると、5兆943億円(対年度比3パーセント増)と、初めて軍事費が5兆円を突破することとなった。来年度は中期防衛力整備計画(1996年ー2000年度)の最終年度にあたっている。

 マスコミの報道では、新規事業としての「重要事態への対応」である不審船対処のための海上自衛隊・自衛艦隊直轄の特別警備隊の新編、高速ミサイル艇の導入、陸上自衛隊のゲリラ・コマンド攻撃対処、核・生物・化学兵器対処のための模擬訓練施設の整備や部隊医学実験隊の新編、そして、初めての空挺団等によるゲリラ・コマンド攻撃対処研究演習の実施に焦点があてられている。ここでは、計上された「指揮通信・情報機能の整備」についてとりあげる。

 まず、情報本部では、新規事業として、緊急性が極めて高い情報(緊急情報)や「周辺国」の軍事的な活動などに関する情報(動態情報)についての情報機能の強化を図るため、「緊急・動態部(仮称)」を新設することとなった。

 また、情報通信等特別枠で、コンピュータ・セキュリティ基盤の整備として、ハッカー対策に本格的に乗り出すこととしている。

 次いで、海上自衛隊では、指揮管制・通信・情報システムなどの効率的な整備を行なうために、海上幕僚監部防衛部の通信課などを廃止して、「指揮通信体系課(仮称)」を新設して、防衛部の再編をおこなう。この背景には、海上自衛隊の作戦部隊指揮管制支援システム(MOFシステム)がさる3月1日に運用を開始したことがある。これは、従来の自衛艦隊の指揮管制システム(SFシステム)を発展させて、さらにこれに航空集団司令部のASWOC管制ターミナル、佐世保地方総監部作戦システムを統合したものである。海上自衛隊のC4I(指揮・管制・通信・コンピュタ・情報)の中核である。

 航空自衛隊では、主要な作戦情報部門を整理・統合して、情報機能の強化を図るために、航空総隊の隷下に「作戦情報隊」を新編する。

 陸上自衛隊では、その運用や装備等の研究を一元的・総合的に実施するためとして「研究部」を新編するほか、研究開発では現有の通信妨害装置と電波発射装置の後継となる「新通信電子妨害システム」の設計・試作に着手する。

 また、引き続き、市ケ谷(東京都)の新国家中央指揮所(NCCS)の整備、IDDN(統合デジタル通信網)の整備、通信の秘匿化のための予算も計上されている。

 なお、来年度はハイテク戦争の実験の場としても機能している「リムパック2000」演習が予定されている。


         
         

松尾 高志


      

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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