安保ウォッチング
「有事法制」への新たな動き小渕首相は、7月15日に防衛庁で開催された第35回自衛隊高級幹部会同で、注目すべき「訓示」を行なった。 第一は、自衛隊についての認識である。 彼はこう述べたーー「まさに今」、自衛隊はこれまでの軍事力を「整備していくだけの時代」から、この軍事力を「運用する時代」へ、「いわば「つくる時代」から「働く時代」へと移行しつつあると思います」。 彼は、戦後の自衛隊の歴史を、軍事力を「整備する時代」とひとくくりして、これからは「運用する時代」に入ったのだ、との認識を示したのである。これは、新ガイドライン路線の実体を実にあけすけに表現したものといえよう。 彼はこうも言っているーー「自衛隊をめぐって様々なタブーのようなものが存在した時代があったと思います」と。「タブー」は「あった」ものとして、もはや過去形で処理されるに至ったのである。今や自衛隊にとって「タブー」は存在しない、との認識である。 第二は、そのことと関連して、小渕首相はつづけて、「自衛隊が有効に「働く」ためには、そのために必要な枠組みや制度も必要になります」として、「周辺事態措置法」と「有事法制」を挙げた。首相が自衛隊高級幹部「会同で有事法制の法制化問題に言及したのは初めて」と防衛庁の事実上の機関紙「朝雲」と特筆している。 小渕首相は「現実に法制化を図ることは、高度の政治判断にかかる問題」であり「今直ちに法制化することを考えているわけではありません」としながらも、「政府としては、有事法制は重要な問題として認識しており、国会における御議論、国民世論の動向等を踏まえて適切に対処してまいりたい」と述べた。 野呂田防衛庁長官もこの後の「訓示」で「これまでの有事法制の研究は問題点の整理を目的としていたが、防衛庁としては研究に止まらず、法制が整備されることが望ましいと考えている」と述べた(「朝雲」7月22日付)。 これに呼応して、自民党のレベルでは、「有事法制」の検討を本格化しはじめている。 自衛隊高級幹部会同の前の日の7月14日、自民党本部で開催された政務調査会の部会長会議で、池田政調会長は「有事を含めた広範な危機管理法制を議論する場合は、各部会に密接なつながりがあるので共通認識を持ってほしい」(「日本経済新聞」7月15日付)と述べ、党内で「有事法制」の研究を進めている「危機管理プロジェクトチーム」(座長・額賀前防衛庁長官)の会合に、政策・省庁ごとに設けている17の全部会から代表者を出席させることを提案し、了承(「産経新聞」7月15日付)をとった。 そしてその翌日、自衛隊高級幹部会同と同じ日に自民党は党本部で「危機管理プロジェクトチーム」の会合を開催して、「有事法制」の本格的な検討に入った。これには、党の政務調査会の各部会代表が出席した。 |
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松尾 高志 |
この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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