安保ウォッチング 

「有事法制」、立法化へ

 小渕新連立内閣は「有事法制」の立法化を本腰をいれて、推進しようとしている。「有事立法はまだ大丈夫だろう」とたかをくくっていてはならない情勢であることを強調したい。

 10月31日、百里基地(茨城県)で行なわれた1999年度・自衛隊航空観閲式における訓示で、自衛隊最高指揮官として小渕首相は「有事法制」の必要性を強調して次のように述べている。

 「わが国に対する武力攻撃が発生した場合、諸君らの精進の結果が十分発揮されるよう、必要な枠組みを整備しておくことも肝要だ。この点から有事法制は重要な問題として認識しており、政治の場でも活発な議論がなされるようになったのは歓迎すべきことだ。政府としては、先般の三党合意を踏まえるとともに、国会における議論や国民世論の動向などを注視しながら適切に対処したい」。

 官邸に戻った小渕首相は番記者の「訓示で有事法制整備に言及したが」との問いかけに、「「適切に対処する」。いい言葉だなあ」と一歩踏み込んだことをさりげなくアピールした。

 同じ日、自民党・亀井静香政務調査会長は日本海に臨む松江市(島根県)で開催された党主催のパーティで挨拶し、「周辺事態」の際に新ガイドラインにもとづいて対米軍事協力すれば、「相手は敵性国家として判断し日本に宣戦布告してくるだろう」として、自自公合意に基づき早期に有事法制整備に取り組むとの見解を表明した。

 これらは、これまで「研究」段階にとどまっていた「有事法制」を立法化にむけて踏み出すとの政府・与党の姿勢を示したものである。小渕首相は11月中旬までには安全保障会議で立法化準備を指示し、関係省庁局長等会議を設置して年内に法制化に着手、来春までに一部法案を作成、次期通常国会に法案を提出するとの方針を固めた、と「神奈川新聞」(10月17日付)は報じていた。

 小渕連立内閣の発足の前日、10月4日に合意された自民党・自由党・公明党の「政治・政策課題合意書」の中で「有事法制」整備について、「第一分類、第二分類のうち早急に整備するものとして合意が得られる事項について立法化を図る」と明記している。

 新内閣の人事配置も「有事法制シフト」ともいうべきものとなっていることにあらためて注目する必要があろう。

 閣僚・準閣僚については、防衛庁長官経験者が4人(臼井日出男=法務大臣、玉沢徳一郎=農水大臣、瓦力=防衛庁長官、額賀福志郎=内閣官房副長官)配置された。額賀氏は防衛庁長官退任直後に自民党国防3部会のもとに新設された危機管理プロジェクトチームの座長となり、党の「有事法制」整備の推進軸の役割を果たしてきた。内閣官房副長官は「有事法制」整備のキー・ポストである。そればかりではない。この危機管理プロジェクトチームのメンバーであった7人もが新内閣の閣僚・政務次官に就任していることを重視すべきである。さきの防衛庁長官経験者4人に加えて、閣僚としては、牧野隆守=労働大臣。政務次官には依田智治(元防衛事務次官)=防衛庁、村上仁=金融監督庁である。

 楽観はゆるされない、と考える。


         
         

松尾 高志


      

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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