小泉首相は5月23日午前、テキサス州クロフォードにあるブッシュ米大統領所有の牧場で、日米首脳会談を行った。
会談の内容は多岐にわたったが、ここではミサイル防衛について焦点をあててみる。
この問題について、会談での主なやりとりとして、日本側の説明によると、小泉首相は次のように述べたとされている――
会談後の共同記者会見でも、小泉首相は次のように述べている――
これはブッシュ米大統領が記者会見の冒頭で次のように述べたことに対するものであった――
このことは、この会談で重要な合意があったことを示している。それは、昨年末の日米防衛首脳会談で米側から提案のあったミサイル防衛についてんのブッシュ方式への転換の合意である。
これはクリントン政権下で、1999年から日米間で進めてきたミサイル防衛の共同研究による迎撃システムとは別のものである。ブッシュ政権は配備できるものから実戦配備するとの新方針の下で、2004年からイージス艦に搭載するスタンダード・ミサイルと、陸上配備のパトリオット・ミサイル(PAC-3)を実戦配備するとしており、日本に対しても方針の切り替えにより、同じシステムを導入するよう要求してきていたのである。
「流れは昨年の日米防衛首脳会談の際にできていた」と防衛庁幹部が語っているように(「朝日新聞」5月25日付)、それ以降、防衛庁では事務レベルで迎撃システムの能力や価格について米国と
協議してきている(「産経新聞」5月25日付)。同紙によれば、仮に開発、配備に至った場合、「数百億から数千億円に及ぶ膨大な経費が必要」(防衛庁幹部)とされており、「朝日新聞」(5月2
4日付夕刊)は配備に向けた必要経費を来年度予算に盛り込む方向で検討を進めていると報じている。
このためには今後、安全保障会議での導入決定の手続きが必要となるが、小泉首相はこのことを「検討を加速する」との表現で、急ぐことをブッシュ米大統領に伝えたものと言えよう。
これは日米同盟強化の目玉の一つとして、ミサイル防衛でアメリカと足並みをそろえることを意味している。
だが、このミサイル防衛システムを導入する場合、その運用にあたって、指揮権問題と集団的自衛権に抵触する高度に政治的な難問が浮上してくることになろう。
この首脳会談では、ほとんど報道されなかったが、日米防衛協力・戦略対話の議題があったはずであり、「東京新聞」(5月24日付夕刊)は「安全保障面での対話を強化することを確認した」と2
行だけ報道していることを見逃すことはできない。
ブッシュ政権の「ブッシュ・ドクトリン」にもとづく新軍事戦略の下での新たな日米同盟の展開がはじまっていることを重視する必要があろう。