イラク戦争に国民の目が向けられている間に、自衛隊のテロ特別措置法にもとづく、アフガニスタンにおける米軍の「エンデュアリング・フリーダム(不朽の自由)作戦」に対する兵站支援作戦が
その範囲を拡大しつづけている。
まず、自衛隊の兵站支援作戦の内容の拡大である。さる2月3日、海上自衛隊の護衛艦「いかづち」が横須賀軍港(神奈川県)から、また、翌4日には輸送艦「しもきた」が呉軍港(広島県)から相次いで出港した。これはアフガニスタンの米軍航空基地の強化を目的としたタイ国軍の兵員と装備(重機など)を、タイから「インド洋沿岸国」(地名は発表されず)に輸送するというもの。この作戦は日米の局長レベルの調整委員会で米側が要望したもので、日本政府は昨年11月にテロ特別措置法にもとづく「対応措置に関する基本計画」の変更を行ったことによるものである。海上自衛隊の輸送艦が米軍以外の外国軍隊の兵員と装備を輸送するのはこれが初めてのこととなる。
これに次ぐ拡大は、洋上給油する対象となる国の拡大である。当初は米英の2カ国であったが、2月28日の閣議で、フランス、ドイツ、ニュージーランドの3カ国を加えて5カ国としたのをはじめとして、3月11日にはイタリア、オランダ、スペインを加え、さらに3月28日にはカナダ、ギリシアに拡大、合計で10カ国の艦艇に対して洋上給油をすることとした。
米海軍高官によれば、日本の洋上給油作戦開始以来、2月25日までに海上自衛隊が洋上給油した量は約28万キロリットルにのぼり、これは「インド洋方面で対テロ作戦のため行動している全艦艇
消費量の約40パーセント」に相当するという(「海上自衛新聞」3月7日付)。この費用は日本政府負担であり、総額約105億円となる。
また、4月10日、佐世保軍港(長崎県)からイージス護衛艦「こんごう」、護衛艦「ありあけ」、補給艦「はまな」の3隻がインド洋にむけて出港した。イージス艦の派遣は現在の「きりしま」に次いで2隻目となる。今回のイージス艦「こんごう」は米海軍艦艇とリアルタイムでのデータリンクが可能な「リンク16」を搭載しており、エリア防空任務を遂行することが可能となる。
「東京新聞」(4月10日付夕刊)はこのことについて、「(イラク作戦のための)米軍の移動で欠けてしまった防空網を海上自衛隊が埋める。イージス護衛艦は、かねてから米国が求めていた「応
分の負担」を日本が果たすシンボルになっている」と報道した。
これらの海上自衛隊の兵站支援作戦は全体としてみれば、イラク戦争に対する「間接支援」の意味をもっていると言うことができるであろう。
小泉内閣はブッシュ・ドクトリンにもとづく「対テロ戦争」の第二幕としての対イラク戦争への加担・協力を事実上、実施していることを見逃してはならない。
03/4/18記
松尾 高志