ミサイル防衛の導入を急ぐ防衛庁(03/4/15)

 石破防衛庁長官は4月7日のクラウチ米国防次官補との会談で、ミサイル防衛について、アメリカが04年から実戦配備を計画しているシステムを日本が導入することを検討することを伝えた(「朝日新聞」4月8日付)。


 防衛庁で行われた会談で石破防衛庁長官は以下のように述べたと同紙は伝えている――「我々も具体的な論議をしていく必要がある。この問題は内閣で決定するものだが、費用対効果、我が国の防衛システム全体のなかでの位置づけ、法的整備など、議論の材料を提供するのが自分の役目と思っている」。


 イラクでの戦争報道の中で見逃されがちであるが、現在、日米両政府の間では、ミサイル防衛についての日本政府の方針の大きな転換のプロセスが進められている。


 防衛庁はこれまで米国防総省との間で、ミサイル防衛について日米共同技術研究を実施してきた。しかし、昨年12月に訪米した石破防衛庁長官に対して米側が全く新しい提案をしたのである。

 
 全く新しい提案とは、ブッシュ米大統領が昨年12月17日に発表したミサイル防衛の実戦配備計画の日本への応用である。


 ミサイル防衛については当初から積極論だったブッシュ政権はスパイラル・アプローチ(発展的アプローチ)をとって、ミサイル防衛技術を発展させていき、技術的・能力的に実戦配備できるものから配備していき、その後、改良して計画を推進するという政策をとっている。このため、04年〜05年までに

(1)地上配備型迎撃ミサイルをアラスカとカリフォルニアに20基実戦配備する、
(2)海上配備型迎撃ミサイルをイージス艦に最大20基実戦配備する、
(3)陸上配備の迎撃ミサイル「パトリオット」(PAC-3 )を実戦配備するとの計画を発表した。


 これが昨年12月17日のことであった。この発表はまさにワシントンで石破防衛庁長官とラムズフェルド米国防長官との間での日米定期防衛首脳会談が終了してから、数時間後のことであった。この前日には石破防衛庁長官はミサイル防衛庁を訪問して、ケイディッシュ長官からブリーフィングを受けてもいた。


 全く新しい提案とは、この会談で日本側に示された。内容はこれまで日米共同技術開発してきたものとは別に、ブッシュ大統領が実戦配備すると発表したイージス艦に搭載する迎撃ミサイル(スタンダード・SMー3)と、パトリオット(PAC-3)を日本側が購入せよというものであった。


 日本政府はまだこのことを公式には認めていないが、新聞報道では今年2月24日に東京で開催されたミニSSC(審議官レベルの日米安保事務レベル協議)で日本側は米側にできるだけ詳細な資料をできだけ早く提供するよう要望したとされている。


 今回の石破防衛庁長官の発言はこの路線変更によるミサイル防衛を推進するとのシグナルである。ミサイル防衛の実戦配備の日程はこれによって、一挙に早くなる。


 偵察衛星を打ち上げた日本政府は急ピッチでミサイル防衛の導入=実戦配備にむかってつきすすもうとしている。

03/4/9記
松尾 高志

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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