多国籍軍に自衛隊参加を-川口外相が論文で提起(03/2/15)

 川口外相は月刊誌「論座」(朝日新聞社刊)3月号(2月5日発
売)に「変化する安全保障環境と日本外交」と題する論文を寄稿し
て、国連決議にもとづく多国籍軍への自衛隊の参加のための法律整
備が必要であるとの議論を提起している。
 同論文は、9・11以後、テロという「新しい脅威」が出現し、
また同時に「伝統的な脅威」が引き続き存在しているという認識を
ふまえて、現在は「冷戦構造に代わり得る新たな安定的な国際秩序
の確立に向け、国際社会は模索を続けている状況」であるとし、そ
の中での日本の外交とそれにともなう国内体制の整備について議論
すべきだと主張するものである。
 その議論の前提として、川口外相は日本外交の基本は以下の2点
であると、述べている。
 ○「我が国の安保政策は日米安保条約の堅持、適切な防衛力の整
備、外交努力の三つを基本」としているが、この「根幹は堅持して
いかなければな」らない。
 ○「米国との緊密な協議と連携が日本の国益にかなうとの判断」
にもとづき「我が国自身の選択として米国との対話・強調・協力に
一層努めながら、国際社会が直面する様々な課題に取り組んで」い
く。
 こうした前提にたって、川口外相は「国際社会と協力しながらテ
ロとの闘いを実効的に行っていくためには、国内体制を一層整備す
る必要があ」るとして、次の二つの法整備の検討が必要だと主張し
ている。
 (1)「国際社会は、いつ終わるともしれないテロとの闘いを遂
行中であり、我が国としてもこれに参加していくことが、我が国自
身の安全を守るためにも必要」である。
 現在のテロ対策特別措置法は「時限立法であり、その対象も『9
・11』への対応に限定されたもの」である。
 したがって、国際社会がテロに対して「強調行動をとる必要があ
る時には、我が国として果たすべき役割を果たせるよう、法整備の
必要も含め、国内体制の整備について早急に議論を進めていくこと
が必要」である。「グローバルなテロとの闘いの中で我が国が応分
の負担をするとの観点からも」国内体制の整備が必要である。
 (2)「私は『平和の定着』という考え方を提唱しており、その
一つに紛争地域における人道・復興支援や国内の安定・治安の確保
に向けた協力が挙げられ」る。平和の定着のためにはPKO(国連平
和維持活動)が重要な役割を果たしているが、我が国のPKO のあり
かたには「まだまだ課題が残されている」。それは、参加五原則、
武器使用の制限がある。また、東ティモールやアフガニスタンの場
合は「多国籍軍が展開し、治安の維持に当た」ったが、「現行の
PKO法では我が国はこれらの活動に参加することはでき」ない。
「しかし、国連という国際社会の主要な意思決定機関の決定に従っ
て組織された多国籍軍について、その任務次第で自衛隊がこれに参
加したり、協力することを我が国の憲法がすべて禁じているとは思
われ」ない。
 昨年12月の国際平和協力懇談会の具体的な提言を「参考にし、
政府としていかなる改善策をとるべきか、早急に真剣な検討を行っ
て行く必要がある」。
 こうした川口外相の論文が、日米同盟の強化という路線選択を前
提としつつ、「日本の国益」というフレーズを2回も使用してのも
のであることに注意を喚起しておきたい。    

03/2/7記
松尾 高志

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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