ラムズフェルド米国防長官は16日から19日にかけて韓国を訪問、6日間にわたるグアム〜日本〜韓国とまわっ
た東北アジア歴訪を終えた。
韓国では17日の米韓定例安保協議(SCM)を前にして、15日にマイヤーズ米統合参謀本部議長と韓国軍統合参
謀本部議長をヘッドとする米韓軍事協議(MCM)が開催された。
ラムズフェルド米国防長官の訪韓の目的も、日本と同じく@米韓安全保障関係の強化とA世界規模の「対テロ戦争」
の遂行、そしてB米軍の変容(トランスフォーメーション)にともなう在韓米軍基地の再配備問題であった。
17日に開催された第35回米韓安保協議(SCM)には米韓両国の国防長官をヘッドとして米韓両軍の首脳も参加
した。米側からはマイヤーズ米統合参謀本部議長、ファーゴ米太平洋軍司令官、ラポート在韓米軍・在韓国連軍司令官
が加わった。
米韓安全保障関係の強化については、在韓米軍の再配備問題をからめて今春から軍レベルの協議が5回開催されてお
り、未だに決着がついておらず、今回の協議でも米側から「抑止力・防護力はいささかも弱体化させるものではない」
との説明があったものの、新しいコンセプトに基づいた朝鮮半島有事の作戦計画の立案作業をめぐって、米韓両国の間
でのつなひきが引き続いている現状はそのままとされた。
「対テロ戦争」については、イラクへの韓国軍の派兵について、約5000人規模で特定の地域を分担する形での治安
維持部隊(戦闘部隊)の早期(来年2月の米軍交替時期)派兵を求めているのに対し、韓国側は国防省・外交交通省の積
極協力論を大統領府が抑える形で、約3000人規模・非戦闘部隊の来年4月以降の派兵との線を打ち出したため、この
問題も先送りとなった。ラムズフェルド米国防長官は公式には「どのような形でイラク派兵するかは主権国家である各国
が決めること」との態度表明を行ってはいるものの、「自己充足的で米軍による保護を必要としない部隊を」とし、決着
はついていない。
ラムズフェルド米国防長官はSCMの後、韓国大統領と会見し、翌18日には、ソウル市内のヨンサン基地の米陸軍第
8軍司令部、38度線(休戦ライン)近傍の米陸軍第2師団が駐留するキャンプ・ケーシー、続いてオサン米空軍基地を
視察した。
ブッシュ政権は朝鮮半島での軍事力行使のオプション(選択肢)は依然として「テーブルの上にある」としているもの
の、未だ新たな準備態勢がととのわず、さらにアフガニスタン、イラク現地での「対テロ戦争」の遂行にあたっても思惑
どおりには情勢が進展していないという手詰まり状態にある。ラムズフェルド米国防長官の東北アジア歴訪はこうした中、
軍事力行使のオプションについての布石をかろうじて打つにとどまったと言えよう。
だが「布石」は打たれたことは確かであるので、これからの情勢の展開を引き続き注視することが必要であろう。