ブッシュ政権発足以来初めて、ラムズフェルド米国防長官が11月14日から16日まで来日し、小泉首相(14日)、
川口外相(15日)、石破防衛庁長官(同日)と相次いで会談を行った。16日には沖縄を訪れ、稲嶺知事とも会談し、
次の訪問先である韓国に向かった。
このラムズフェルド米国防長官の訪日・訪韓の目的は、歴訪に先立ち、10日にナショナル・プレス・クラブで同長官
が行った記者会見で、両国との間における、@防衛取極めと、A世界規模のテロとの戦争における協調についての協議で
あるとされていた。
この観点からすると、報道されている限りでは、これらの会談を通じて、
@日米同盟関係については、ミサイル防衛について小泉政権がブッシュ政権の政策に即応して、パトリオット・ミサイル
(PAC−3)とイージス艦搭載のスタンダード・ミサイル(SM3)を「導入・配備」するとしていることがラムズフ
ェルド国防長官から高く評価されたことが注目される。
Aのブッシュ政権の「対テロ戦争」への協力については、イラクへの自衛隊の派兵が焦点となったが、派兵のタイミング
について決定を下すことが出来ずに逡巡している小泉首相の態度を特に問題にすることなく、「日本が自分で決めること」
と冷静な態度に終始した。小泉政権はこの点については自衛官による専門調査団を15日にイラクに派遣するという具体
Iな行動で事実上の態度表明を行った。現在のブッシュ政権の同盟国の協力についての態度が「要求をつきつける」のでは
なく、「なにをどこまでするか査定する」というスタンスにあることを改めて印象づけたと言えよう。
このラムズフェルド国防長官の極東歴訪にはもう一つの目的があったように思われる。それは米軍のトランスフォーメ
ーション(変革)にともなう海外展開部隊の再配置のための準備行動としての歴訪でもあったということである。
同長官の歴訪の足取りをトレースすると、まず、グアムのアンダーソン空軍基地を視察(13日)した後に訪日し、一
連の会談後、15日に横須賀米海軍基地を視察(第7艦隊旗艦・ブルーリッジ艦上で昼食)、次いで横田米空軍基地を視
@、16日には嘉手納米空軍基地と米海兵隊のキャンプ・フォスター(瑞慶覧)基地を視察している。
石破防衛庁長官との会談では米国防総省が検討している米軍の再編問題について「アイディア、コンセプトはできつつ
あるが、初期の段階で、決定していない」(「朝日新聞」・15日付夕刊)、「ブッシュ大統領の指示を受け、世界的に
米軍配置について検討している。21世紀に適した態勢を検討したい」(「日本経済新聞」・同前)と述べたと報じられ
ている。
また、石破防衛庁長官は会談に先立つ14日の記者会見で、ラムズフェルド米国防長官との会談では「ポスト9・11
時代」に入っての「非対称的な脅威に対して日米同盟がどのようにあるべきか」を議論することが必要と発言しており、
こうした一種の「戦略対話」も行われたものと思われる。
ブッシュ政権は「対テロ戦争」を共和党政権でありつづければ、今後10年から15年続けるとしており、日米同盟の
強化も模索されはじめている時期のラムズフェルド米国防長官の来日は、来日という行動それ自体で重い圧力を小泉政権
に加えたものと言えよう。