イギリスの軍事専門情報誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」(9月17日付)が、防衛庁が来年度(平
成16年度)の概算要求・業務計画案に新たに盛り込んだ海上自衛隊の1万3500トン型ヘリコプター搭載護衛艦(
DDH)について、「空母」と報道した(「世界の艦船」・12月号)。
「日本の新型艦艇が欧米の軍事雑誌に紹介されることはほとんどない」(同誌)ことから、このヘリ搭載護衛艦の導
入が少なくないインパクトを海外に与えていることがうかがわれる。
これは2000年度(平成12年度)からの中期防衛力整備計画(中期防=5ヵ年計画)で2隻の建造が決まっていた
ものだが、この中期防の発表時のイメージ図と今回発表されたイメージ図が大きく違っていることも一つの要因である。
というのは、このヘリ搭載護衛艦の最初に発表されたイメージ図では、飛行甲板が艦橋によって前後に分離されていたも
のが、今回の発表のイメージ図では艦橋を横に配置して空母と同じ全通甲板となったからである。この変化により、同時
ノ発着艦できるヘリコプターの数は2機から4機となった。
「ジェーンズ」誌はこのことを「以前公表されたイメージ図とは明らかに異なり、クラシックな全通甲板空母」である
と指摘している。
また、同誌は「満載排水量では1万6000トンを越える全長195メートルの本艦は、完成すれば海上自衛隊最大の
艦となる」とし、スペイン海軍の空母と「ほぼ同じ大きさ」で、ハリアー戦闘機を搭載する「タイの空母より大型」だと
している。
搭載できるヘリコプターの数は、作戦時で最大11機であり、これは8隻・8機で構成されている現在の1個護衛隊群
のヘリ搭載規模を上回ることとなり、これは1個航空隊に匹敵するヘリとその関連機材をこの1隻の護衛艦に搭載するこ
とを意味している。
だが、これらのことと同時に指摘しておかなければならないことは、このヘリ搭載護衛艦の最大の運用目的が「海外展開」
する自衛隊の「洋上司令部」機能にあることである。
それは同艦が、自艦用指揮所、また自艦隊用の司令部作戦指揮所の指揮統制システムとは別に、「統合運用の際の現地統
合司令部の設置をも想定」した多目的エリアとそのための統合運用を考慮した通信システムを装備(「世界の艦船」・11
月号)しているからである。自衛隊の事実上の機関紙「朝雲」(9月18日付)も、PKO(平和維持活動)や大規模災害
派遣のほかに、「外国で戦争や動乱が起こって緊急に邦人を輸送する場合」を運用の例としてあげている。
もちろん、日米共同作戦を想定して、「米海軍指揮統制システムやリンク16などとの連接の確保」もしている(「世界
の艦船」・11月号)。
これは、自衛隊の海外展開任務を「本来任務」と同格とする「恒久法」の制定にむけたハードウェア(兵器)の調達に、
防衛庁が足を踏み出したものであると言えよう。同艦の就役は08年度(平成20年度)末とされている。