「対テロ」戦争の戦線拡大の一つか?(02/2/5)
ブッシュ米大統領の「新しい戦争」は2002年に入って、アジア・太平洋地域で「新しい」姿を現わせはじめている。
1月15日に開始された米軍とフィリピン国軍による米比合同演習「バリカタン02―1」演習がそれである。演習期間は当面、6カ月とされ、その規模はフィリピン国軍から約1200人、米軍から660人(うち特殊部隊が160人)が参加する。
報道によると演習は3段階となっており、第1段階が準備・展開(約1カ月)、第2段階がフィリピン南部ミンダナオ島サンボアンガでの米軍によるフィリピン国軍に対する軍事訓練(約4カ月)、そして第3段階が実戦(約1カ月)である。この演習の特異なところ、「新しい」ところはそれが訓練・演習にとどまらず、実戦にまで及んでいることである。この実戦については、ゴレス大統領顧問(安全保障担当)によれば、フィリピンの国家安全保障会議(1月23日に開催)で、米軍兵士は戦闘には参加しないことが確認され
たとされている。
実戦の場所として予定されているのは、サンボアンガから南にヘリコプターで約20分の位置にあるバシラン島(面積約1400平方キロ)である。この島はアル・カーイダと関連があるとされるフィリピンのイスラム系武装闘争組織アブ・サヤフの拠点であり、現在、米宣教師夫妻を含む3人が人質として拘束されており、フィリピン国軍が人質救出作戦を展開中の場所である。
「朝日新聞」(1月17日付)によれば、例年は時期が4月から5月に実施されることになっている演習名(「バリカタン」)を今回の全く「新しい」演習(実戦まで含む一連の作戦行動)に急遽あてはめた、という。例年のものだとのカモフラージュであろう。
事実、ウォルフォウィッツ米国防副長官は「ニューヨーク・タイムズ」(1月8日付)でアフガニスタンの次の目標として名指しした4つの国の中にフィリピンを含めていたのであり、ラムズフェルド米国防長官は1月16日の記者会見で演習のターゲットにしたアブ・サヤフはアル・カーイダとつながりのあることについて「疑問はまったくない」と言明し、今回の演習を「世界規模の懸案である」として、「対テロ」戦争の一環だと位置づけている。
フィリピンのイスラム人口は全人口の4.3%でしかないが、その大半はミンダナオに集中しており、バシラン島はインドネシア(最大のイスラム国家)に連なるスル諸島の北端に位置している。日米安保体制を基軸としたアジア演説をした小泉首相と会談するために今年を「戦争の年」だとしたブッシュ米大統領がほどなく訪日することになっているのはこうした情勢の中である。
02/1/28記
松尾 高志
この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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