よりいっそうの軍事的役割を提言
      ――対外関係タスクフォース報告書(02/12/15)

 小泉首相の私的懇談会「対外関係タスクフォース」(座長・岡本内閣参与)は11月28日に「21世紀日本外交の基本戦略」とのタイトルの報告書を首相に提出した。

 これは昨年9月に「官邸主導の中長期的な外交戦略の構築」を掲げて発足したもので、岡本氏以下、次のような9人のメンバーから構成されている――小此木・慶応大学教授、北岡・東京大学教授、
田波・国際協力銀行副総裁、谷野・前中国大使、張・トヨタ自動車社長、西原・防衛大学校長、山内・東京大学教授、渡辺・ジェトロ理事長。

 報告書で、安保の観点から注目される論点は以下のとおりである。

 ●外交の展開には「国家としての明確な戦略」の策定が必要である。その「戦略の基礎」は「国益」である。

 ●「国益」の中で、「最も重要な国益」は「安全」である。このためになすべきことは次のことである。
(1)「米国との安全保障関係を強化」すること、(2)「世界の安全のため」、に「より積極的な役割を果たすべき」である。具体的には「国連から国際的正当性を付与された活動」に対して、「自衛隊を活用した補給・輸送等の後方支援」、「PKOへの積極的参加」、「破綻国家再建などに従来以上に積極的に参加」すること。この際、「自衛権を越えた武力行使は避けるべきだが、国際平和活動の際の運用につては国際標準に適合するよう見直すべき」である。また、「対象も拡大して」、例えばアフガニスタンにおける国際治安支援部隊(ISAF)のような活動にも参加すべきだ。

 ●対米関係については、「安全保障関係を中心に米国との関係を総合的に再検討すべき時期にきている」。この再検討作業の過程を経れば日米関係はいっそう強固なものになるだろう。

 ●日本が米国との関係で「英国並み」になるべきとの発想には「無理があろう」。日本は米国との関係で「同じ目的を持ちつつも自らの座標軸を持った強力な同盟国」として、「米国との間で徹底的な議論を行ったうえで新しい時代の政策協力を図り、「相互に補完的な外交」を行っていくべきである。

 ●日米のミサイル防衛協力は「研究段階から開発段階への移行」を図ることが必要だろう。

 ●わが国の「シーレーン防衛」の重要性は高まっている。

 ●新たな脅威に対応する上でも、「できるだけ早期に有事法制が国会で可決されること」を期待したい。

 ●日本が主体的に判断できる「情報源を持つこと」が必要である。

 ●「集団的自衛権問題」については、論点を日米安保の文脈から、現実の国際平和維持の場に移して、「集団安全保障体制」に日本が実質的に参加するための「現実的議論へ進化させていくことがより
実際的であり有益」と考える。

 ●武力行使を目的とした自衛隊の海外派遣は憲法上許されないが、これに「抵触しない後方支援活動、国際的な警察活動に対しては「機動的に貢献できる国家」となるべきである。

 ●短期的に最大の問題は、米国のイラク攻撃があった場合の日本の対応である。ペルシャ湾の安全航行を確保するための多国籍艦隊に関しては、「海上自衛隊が自衛隊法82条に基づく海上警備行動を国内政治上の考慮を過度に優先させることなく、純粋に国民の生命と財産を保護する観点からのみ判断できるようになった時」こそ、日本は「通常の国家」になったというべきであろう。

 以上の諸点は、日米安保の「再々定義」を実施して、事実上の集団自衛権を行使しうる日米安保体制へ移行することを強く主張しているものということができよう。報告書が提言している「外交安全
保障戦略会議」の設置が実現するかどうかとは別に、これらの論点の目指すものを見抜くことが大事である。

02/12/9記
松尾 高志

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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