陸上自衛隊の指揮一元化へ(02/12/10)
最近、陸上自衛隊が抜本的な再編成を検討しているとの報道が相次いでいる。
その趣旨は、全自衛隊部隊を一元的に指揮する司令部の創設である。その名称は「総隊司令部」(「産経新聞」11月10日付)、「中央機動集団司令部」(「東京新聞」11月27日付)とまだ流動的であるが、指揮機能の一元化であることで同じ内容である。
現在の陸上自衛隊の編成では、5個の方面隊(北部、東北、東部、中部、西部)が独立して並存しており、これらを一元的に指揮するシステムにはなっていない。
それは米軍が陸上自衛隊を育成した時に、米軍の野戦軍システム導入して編成したこと、戦前の旧陸軍が強大な権力を握り、アジア侵略を牽引したことの反省があったこと、さらに冷戦下で対ソ戦略
として北方重視の部隊配置によるオペレーションを想定していたことなどに起因していたからである。
それが今回のように一元指揮機構を創設する方向で検討が進められているのは、今年4月に中谷防衛庁長官が統合幕僚会議議長、陸海空各幕僚長に対して、「統合運用に関する検討」を指示したこと
によっている。
現在、自衛隊では自衛隊の陸上、海上、航空と並存している自衛隊の各軍種を統合的に運用するという構想が進められている。これは共同作戦の相手方であるアメリカ軍が統合運用(ジョイント・オペレーション)強化の方向ですでに進んでいることに連動・追随しているというのが正しい理解である。自衛隊全体を一つのユニファイド・コマンドとする方向性をもった構想であると言っていいであろう。現在、統合幕僚会議議長の権限強化の措置をとる方向を含め各種の措置をとることの検討が進んでいる。
この中にあって、今回の陸上自衛隊の構想は、海上自衛隊は自衛艦隊司令部が設置されており、航空自衛隊も航空総隊司令部が存在し、それぞれ戦闘部隊は一元指揮のシステムをとっているが、しか
し、陸上自衛隊がこれに相当する一元指揮機構をもたないので、それを創設して足並みをそろえるということでもある。
陸上自衛隊の「最高司令部」の創設の時期は、06年目標(「産経新聞」)、08年目標(「東京新聞」)と、これも流動的であるが、その方向に進むことは確実であるようである。12月にも石破防衛庁長官に提出される「統合運用の検討」についての最終報告にこれがどのような形で盛り込まれることになるのか・・・。
すでに本欄で指摘しているように、この「統合運用の検討」は現在、推進されている有事法制と連動した自衛隊のソフトウエアの軍拡の動きである。
日本国を戦争遂行可能な国家体制に再編成しようという動きの一
つ一つに厳しく対峙していくことが肝要であろう。
02/11/30記
松尾 高志
この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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