防衛計画大綱見直しの意味(01/9/5)

 防衛庁の事実上の機関紙である「朝雲」(8月23日付)が1面 トップで、防衛計画の大綱の改定へ、「防衛力のあり方」を抜本見 直し、と報道している。

 改定作業に先立って、「防衛力のあり方」の抜本見直しの検討作 業を9月から着手するという。この作業は内局防衛局と統合幕僚会 議、陸、海、空各幕僚監部の防衛関係部課を中心進める。これを0 3年末までに終え、それをもとに、大綱の改定作業に着手して、0 6年中(これから4年後となる)に新々大綱の策定を目指すとして いる。これは現在の中期防の見直しが06年度末であることから、 これに合わせたスケジュールとなっている。

 報道では、その理由として「情報RMA(軍事における革命)の進 展と国際環境の変化」を挙げており、見直しの中心について、「IT (情報通信技術)を含むRMAの研究をはじめ、大規模災害、領域警 備、NBC(核・生物・化学兵器)対処、弾道ミサイル防衛構想な どに関連して、防衛戦略から自衛隊の装備体系や組織編成、日米防 衛協力の進め方などを再点検する」としている。

 これはまさに、現在、ブッシュ・ラムズフェルド体制の下で策定 作業が進められているアメリカの軍事戦略の「包括的な見直し」の 路線にそったものである。それは「朝雲」が日米防衛協力について、 ミサイル防衛とともに「米国のブッシュ政権が近くまとめる新しい 「国防計画」(QDR)と「大綱」の”整合性”も検討課題となる」 と特記していることからも明かである。

 「朝雲」はまた、「米国は新たな国防計画で、従来の湾岸・中東 と北東アジアの二地域を念頭に置いた「二正面」戦略を、朝鮮半島 ・台湾海峡を含むアジア・太平洋に重点を置いた戦略に切り替える ほか、サイバーテロやミサイル防衛を重視したRMA優先政策をとる とされており、わが国の防衛政策にも少なからず影響をおよぼすも のとみられる」とも解説している。

 小泉内閣は有事法制の法制化(法案を来年の4月頃に国会に提出 するとの観測記事が出ている)、そして、集団的自衛権の行使のた めの「研究」に踏み出しているが、防衛計画の大綱の改定により、 ペンタゴン(米国防総省)の推進するRMA(軍事における革命)に 追従する姿勢をいっそう鮮明にしたということが言えよう。

 米統合参謀会議(JCS)は「ジョイント・ビジョン2020」 を打ち出して、IT(通信情報技術)を軸としたRMA(軍事における 革命)の推進と、4軍(陸、海、空、海兵)の統合運用の方向を提 示しているが、ラムズフェルド・チームはこの推進テンポを加速し て、現実化できるものから早期に実施にうつすことを構想している。

 防衛庁はこうしたペンタゴンの動向をほぼリアル・タイムでフォ ローしており、それに積極的に寄り添うことにしたのである。これ によって、「新ガイドライン路線」下での新たな段階での「日米ミ リタリー・コンプレックス(軍事複合体)」が形成されることにな ろう。

 こうした軍事における「革命」は、小泉首相の「新世紀維新」と リンクして推進されることになるのである。こうした「変革」を許 すかどうかが問われていると言わなければならない。

 

01/8/24記
松尾 高志

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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