日米「戦略対話」はじまる(01/8/25)

 ブッシュ・小泉両新政権発足後初めての外交・防衛局長級協議が 8月10日、ワシントンで開催された。

 この協議には日本側から藤崎一郎外務省北米局長、首藤新悟防衛 庁防衛局長が、アメリカ側からはケリー国務次官補(東アジア・太 平洋担当)、ロドマン国防次官補(国際安全保障担当)が出席して行われた。

 この安保協議の報道は、みな1段の小さな扱いで、日米地位協定問題を見出しとしていたが、これは官僚サイドのガードが固かったからだろうか?

 この協議は、実は新ガイドライン路線を日米両新政権が推進していく上で極めて重要なスタートとなるものである。

 新ガイドラインは日本の役割拡大のフロアー(出発点)であって、 シーリング(天井)ではない、というのが昨年のアーミテージ・ナイ・レポートの認識であるが、これはまた日米両新政権の認識でもあろうことは間違いないところである。その意味での日米の「戦略対話」が開始されたのである。

 各紙の小さな記事の中から、協議のテーマをひろいあつめてみると以下のようになる――

 ○日米地位協定の運用改善問題
 ○ミサイル防衛問題
 ○国防総省でのQDR(4年ごとの国防計画見直し)作業
 ○日米安保協議委員会(2+2)の開催問題

 これらは現在、ブッシュ・ラムズフェルド体制のもとで策定作業が進められているアメリカの安全保障政策の「包括的な見直し」の中味そのものである。米軍部とラムズフェルド・チームの折衝が難航していると伝えられているが、タイム・リミットは9月30日である。その結果にもよるが、見通しとしては、かなりドラスティックな変化がもたらされると見られ、防衛庁ではそれに適応するために防衛計画の大綱の見直し作業を始めようとしている。

 すでに中谷・ラムズフェルド会談(6月22日・ワシントン)で、 ペンタゴンと防衛庁の間で新たに、審議官レベルの新たな日米軍事協議機関の設置に合意している。自衛隊の準機関紙「朝雲」(6月 28日付)によれば、この機関には「具体的には両国の審議官級のほか、統幕、各幕と米軍のカウンターパートの制服組も加え」るという。「神奈川新聞」(6月8日付)は、審議官級協議の下部機構として「ワーキングチーム」を陸海空別に設置するとも伝えており、 これが実現すれば、米軍と自衛隊の軍部レベルのパイプは一層太いものとなり、「戦略」のレベルでの「対話」が開始されることになる。

 ブッシュ新政権がアジア正面を重視することにともない、そこにおける日米同盟の比重も重くなる。「バードン・シェアリング」 (負担の分担)から「パワー・シェアリング」(軍事力行使の共有性)へのシフトの変更は日本の軍事分担の一層の拡大を意味してい る。

 小泉首相の「新世紀維新」を構成する日米安保体制の強化を注意深く見抜くことが求められている。

 

               松尾 高志

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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