小泉・ブッシュ会談での安保問題(01/7/15)
小泉純一郎首相は6月30日(土)、ワシントン郊外のキャンプ・デービッドの大統領山荘で、ジョージ・W・ブッシュ米大統領と初の日米首脳会談を行い、会談後、共同声明にあたる「安全と繁栄のためのパートナーシップ」と題する文書を発表した。
今回の会談のキーワードは日米安保体制の強化のための「戦略対話強化」にあると言えよう。
共同声明は冒頭の「平和と安定のための協力」の項で、「両首脳は、戦略対話強化の重要性について意見が一致」したとして、「ア ジア・太平洋地域および世界その他の地域における協議を強化することを決定した」とうたっている。
このために、共同声明は新ガイドラインの「継続的な実施を基礎として、安保協力を新たな段階に進めるために、さまざまなレベルで安保協議を強化することを決めた」と記している。
この「戦略対話」のための「さまざまなレベルでの安保協議」の場については、各紙ともに確定的な報道はしていない。しかし、これが既存の日米安保協議委員会(2+2)、日米安保事務レベル協議(SSC)の活性化であり、また、先の日米防衛首脳協議(中谷
・ラムズフェルド会談)で新設合意した防衛庁・ペンタゴン(米国防総省)間の審議官レベル協議、さらに加えて、新たに設定されるであろう協議の場を含めて、これら全体で、これから「戦略対話」
を強化していくこととなったことが重要なポイントである。
共同声明では、戦略対話のテーマとして以下の項目を列挙している――
(1)地域の安保環境の評価
(2)兵力構成、兵力態勢
(3)安保戦略
(4)緊急事態における両国の役割と任務
(5)平和維持活動に関する協力など
これらの「戦略対話」を通じて、新ガイドライン路線を「新たな段階に進める」こととしたのである。かつてこれだけ具体的にテーマを明示した例はない。
また、ミサイル防衛については、共同声明は「大量破壊兵器および弾道ミサイルの拡散がもたらす、増大しつつある脅威を認識し、 この脅威に対処するため、種々の防衛システムおよび軍備削減などの外交的イニシアティブを含む包括的戦略」の「必要性」を「両首脳は強調」したと一致点を前面に押し出している。
ブッシュ政権の対日安保政策は、昨年発表された「アーミテージ ・ナイ・レポート」ではっきり具体的な要求が示されているが、それに加えて、今回の合意は、現在、ブッシュ・ラムズフェルド体制のもとで進められているアメリカの安全保障戦略の「包括的な見直し」の路線に日本を組み込んでいくことを意味している。
アメリカ側のスタンスは、アジア重視の新戦略を遂行するうえで、 日本を戦略的に組み込んでいく姿勢をはっきりと打ち出しているものと言えよう。
これに対して小泉首相は会談後の記者会見で、「平和憲法の重要性は分かっているが、私は平和を維持するために軍事力の重要性も十分認識している」と述べ、ストレートに軍事力路線を推進することを表明していることを見逃すことはできない。
また、会談で「小泉改革」についてどのような内容であったかという記者の質問に対して次のように答えていることは重要である― ―
「大統領は『あれこれ自分は言わない。日本の私(小泉)の改革の姿勢を評価し、実現を期待している』と。
「(私=小泉は)『明治維新、第二次世界大戦後と日本は外圧をうまく受け入れて発展してきた。今回の転換期は、日本国民自身が改革に立ちあがった。経済問題もいろんな世界の問題も、遠慮なく言ってほしい。外圧とはとらない。助言、提言、アドバイスととる』
と話した」。
また、「日米関係が良ければ良いほど日本は他国との関係も良くなる」とも述べた。
今回の会談で、小泉首相は、明治維新、第二次大戦後に並ぶと自負する「新世紀維新」を遂行して、アメリカと運命共同体を形成し、ブッシュ大統領の副官として「戦後総決算」を行うとの対米公約をしてきたと言っても過言ではない。
小泉首相は、新ガイドライン路線の全面展開をすべく、アクセルを踏み込んだと言えよう。ニューファッションの小泉「改革」にまどわされてはならない。
松尾 高志
2001.7.6記
インターネット版
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