海上保安庁のマラッカ海峡進出(01/6/25)

 日本の「コースト・ガード」(沿岸警備隊)=海上保安庁の大型巡視船(3000〜5000トン級)が、マラッカ海峡に、東南ア ジア各国と海賊対処訓練実施のため、定期的に出動することとなった。

 このところ、マラッカ海峡の「海賊問題」にえらく熱心にとりくんでいる「読売新聞」が社会面(6月6日付)で、このことを大きく報道している。同社はこの問題で単行本も出版している。日本の武装した艦船がマラッカ海峡パトロールの任にあたる日もそう遠い先のことではなさそうである。

 これまでの流れを同記事から年表風に整理すると以下のようなこととなる――

99年10月――「アロンドラ・レインボー号」事件

   11月――日本・ASEAN首脳会議(マニラ)で日本側が「海賊対策国際会議」開催を提唱

00年 4月――海賊対策国際会議(東京、関係15カ国が参加)

    9月――海上保安庁、外務省など調査団がフィリピン、マレーシアなどを訪問し、合同訓練の実施について協議

   11月――海上保安庁の大型巡視船がインド、マレーシアを訪問、初の海賊取り締まり訓練実施(この年、2回の合同訓練実施)

01年5月――海上保安庁の総合訓練(東京湾)にインドの沿岸警備隊の巡視船、初参加

 これらの経緯を見ると、日本政府主導でことが動いていることがよく分かる。

 海上保安庁では、海上保安庁法での同庁の業務対象である「海上」 には地理的限定はないとし、日本にかかわる安全確保のためであれば公海上でも活動できる、との見解をとっていると「読売新聞」 (同上)は報じている。

 同庁では、今年度から1年間に計4回、ヘリコプター搭載の大型巡視船をマラッカ海峡に定期的に派遣、東南アジア諸国と海賊取り締まりの合同訓練を実施するという。最初はシンガポールとなる見込みとされている。さらに巡視船のみならず、航空機の派遣も検討 中である。

 海上保安庁は「不審船事件」以来、装備を強化するとともに、海上自衛隊との協定締結、共同対処訓練の実施など、緊密な連携態勢をとりはじめてもいる。自衛隊法によれば、有事には海上保安庁は防衛庁長官の指揮下に入ることとされている。

 80年代に、日米軍事分担の見直しで、自衛隊の任務として、追加された「1000海里・シーレーン防衛」は、東南アジア方面で は、バシー海峡までをカバーするものであった。

 現在、これから展開されるであろう日米同盟の「戦略対話」のテーマとして、これをマラッカ海峡まで拡大せよとの要求がアメリカ側からちらほら出始めていることに配視しておいたほうがよいので はないか。

 海上保安庁のマラッカ海峡進出を、「新ガイドライン路線」の新展開という観点からもおさえておくことが肝要であると思う。

 

               松尾 高志
2001.6.15記

 

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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