多国籍軍事演習にむかう自衛隊(01/6/15)
東シナ海での多国籍軍事訓練に、海上自衛隊が参加すると海上 幕僚監部が5月15日に発表した。
この訓練はシンガポール海軍が主催して、シンガポール沖のマラッカ海峡で6月11日から22日に実施される「第1回西太平洋掃海訓練」で、合計18カ国が参加、そのうちアメリカ、日本、シンガポール、インドネシア、タイ、オーストラリアの6カ国が艦艇を派遣する。他の国々は共同調整所要員か潜水員(機雷処分員)の派遣となっている。訓練の内容は機雷の除去である。
海上自衛隊が海外――東シナ海での多国籍軍事訓練に参加するのは昨年秋の米・シンガポール等との潜水艦救難訓練以来、2回目のことである。
石川亨海上幕僚長は「(武力行使などの)シナリオを設定した訓練ではなく、集団的自衛権に抵触するとは思わない」(「毎日新聞」 ・5月16日付)として、参加を合理化している。
こうしたアジア・太平洋地域での多国籍軍事訓練化の方向は、アメリカ軍が推進している路線でもある。
米軍が多国籍軍事演習へのシフトの布石として今年初めて実施した「チーム・チャレンジ2001」演習の中核をなす「コブラ・ゴ ールド」演習が5月29日までタイで行われたが、自衛隊はこれにオブザーバー参加をしている。
ブレア米太平洋軍司令官は5月18日のシンガポールでの記者会見で、この演習は「われわれが、21世紀に遂行しようと考えている多くのミッション(作戦任務)に方向転換しつつある」ことを示すものだと述べている。
多国籍軍が実施するミッションとして、米太平洋軍が構想しているものは、平和執行活動、平和維持活動(PKO)、非戦闘員退避活動(NEO)、災難救助、人道支援活動である、とブレア司令官はバンコク(5月16日)、シンガポールの記者会見で例示した。
アメリカ軍は東南アジアでの軍事プレゼンスを活発化させており、フィリピンとの共同軍事演習も再開し、シンガポールが新たに米太平洋艦隊の展開能力を高めるために建設したチャンギ港が完成し、
今年3月には初めて空母「キティ・ホーク」が寄港してもいる。
こうしたアメリカ軍の新しいアプローチに自衛隊が全面協力しようとしていることは、「平素からの協力」を新たに規定した新ガイドライン路線の展開として重視する必要があろう。
また、防衛庁はこれまで制服組を派遣できなかった国連本部の平和維持活動(PKO)局に、自衛官を派遣するために、秋にも開かれる次の臨時国会に、国際機関などに派遣される防衛庁職員処遇法の改正案を提出する方針を固めた、と「産経新聞」(5月26日付)
が報じている。これは同法の立法時には、PKO局への派遣は「計画に携わることで戦闘行為と一体化する恐れがある」として、明記することが見送られたという経緯がある。ここでも突破口を開こうとしているのである。
PKOも「ガイドラインPKO」とも言うべきものに変質しており、こ の点でも、多国籍化路線との関連で見逃すことのできない問題である。
松尾 高志
2001.6.5記
この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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