「チームチャレンジ」演習の狙い(01/5/25)
米太平洋軍(司令部=ハワイ)は、今、東北アジアを除く、アジ ア・太平洋地域で、大規模な新しいタイプの軍事演習の試みを開始している。
この演習は、「チーム・チャレンジ2001」と名づけられたもので、今年が第1回目の実施となる。
この演習は形式的には既存の三つの軍事演習を、全体として一つのニュールックの演習として統合する方向へむけて実施されている。
その三つとは以下のものである――
(1)米比共同「バリカタン2001」演習
(2)米豪共同「タンデム・スラスト2001」演習
(3)米タイ共同「コブラ・ゴールド2001」演習
まず、実施の順に、個別に見ていくと、「バリカタン」は4月27日から5月10日まで、フィリピンで、米軍約1700人、フィリピン軍約1700人が参加して、強襲上陸演習などの戦闘訓練とともに、人道支援活動などを取り入れて実施された。これは両国軍ともに、陸・海・空・海兵隊が参加している。
ついで、「タンデム・スラスト」は5月3日から29日までの日程で、オーストラリアで約2万7000人の規模で実施されている。
これには、カナダから海軍と空軍も参加している。この演習には米空母「キティ・ホーク」バトル・グループ、米海兵隊「エセックス」
水陸両用即応グループ(ARG)、そして第7艦隊旗艦「ブルーリッジ」が参加し、米豪連合統合任務部隊(JTF)司令部を編成して、
演習を実施している。
そして、「コブラ・ゴールド」は5月15日から29日まで、タイで、米軍約5000人、タイ軍約6000人、それにシンガポール軍から将校を中心に55名が参加して、実施されている。この演
習はこれまで実施していた恒例の強襲上陸作戦は廃止し、そのかわりに演習の中心を平和維持活動、捜索救難活動など「人道支援」においている。
これらの三つの演習の全体の名称として、「チーム・チャレンジ」 と称しているのである。このことは米太平洋軍として、今後、この方面
の演習をPKO中心のものとしていく意図があるからである。これらの平和維持活動重視の背景には、東チモールでのPKO
実施にあたって、参加各国軍のスタッフ(幕僚)間に共通する要領や戦術ド クトリンを欠いていたとの教訓がある、と米軍筋では指摘している。
この「チーム・チャレンジ」のハイライトである「コブラ・ゴールド」には、フィリピン、インドネシア、韓国、オーストラリア、
マレーシア、スリランカ、モンゴル、フランスなどがオブザーバーを送っている。
注目すべきことは、この種の多国籍軍事演習に、初めて、自衛隊から陸・海・空の幹部自衛官8人をオブザーバー派遣していることである。自衛隊はこの演習の事前会合にも幹部自衛官を派遣した上でのことである。
米軍は中国にもオブザーバー派遣を要請したが、中国は不参加とした。なおベトナムも不参加である。
報道によると、東南アジアの国の中には、この米軍主導の多国籍軍事演習の動向を「平和維持活動」というモメントを通
して、対中 国包囲網を形成するのではないかとの懸念をいだいているむきもある、とのことである。
「新ガイドライン」路線の下、「ガイドラインPKO」とも呼ぶべき平和維持活動重視の自衛隊の動向に注視しなければならない。
松尾 高志
2001.5.15記
インターネット版
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