ブッシュ新政権の国防政策全面見直し(5)(01/4/5)

 前回の続きとなるが・・・

 第三は、それと同時に、ブッシュ大統領がメキシコでの記者会見 (2月16日)で示した今回の空爆についての次の論点が興味深いのである。彼はこう言った――

「われわれは、フセインが大量破壊兵器を開発しているかどうかを、慎重にチェックしている。もし、われわれがそれを把握すれば、適切な行動をとるだろう」。

 今回の空爆がその焦点を「大量破壊兵器の拡散阻止」においていた。これが強烈なメッセージだったということである。この対象はイラクに限らないことは言うまでもないであろう。

 ところで、この空爆であるが、実際にハイテク精密誘導兵器のデ ビューを飾るにふさわしいものであったのか?

 この週のはじめに、「えひめ丸」の犠牲者に黙祷を捧げることからスピーチをはじめることを余儀なくされたことに象徴されるように、今回もまた、ブッシュ新政権の新戦略の前途多難を暗示するかのような結果 であった。

 「ワシントン・ポスト」紙(2月22日付)とAP通信(「星条旗」 紙・2月23日付)の報道を総合すると、ハイテク兵器の命中率は 50パーセント以下だとの結果で、ペンタゴンはショックを受けていたのである。

 目標となった5箇所の基地のうち、通信ノードは7箇所で、これには陸上基地(サウジアラビア)から出撃したF15イーグル機から「AGM-130」精密誘導爆弾を5発投下したが、当たったのは3発 ないし4発であった。あとは他の爆弾で全部についてダメージを与えたという。

 また20ないし25基のレーダーサイトに対しては、ペルシア湾に展開している空母「ハリー・トルーマン」から発進したF/A-18機 から「AGM-154A」(JSOW)を25発投下したが、当たったのは8発で、ダメージなしは8発、結果 未確認が9発という結果だった。命中率は50パーセント以下であり、爆撃ダメージ評価(4段階)で言えば、「Bマイナス」から「Cプラス」というランクに止まった。 レーダーサイトに大きな損傷はなく、残存したという。これはハイテク兵器のソフトウエアに問題があったと指摘されている。

 ペンタゴンのクイグリー報道官は作戦の全体について、効果は 「十分だった」と繰り返したが、具体的な質問に対しては「戦闘ダメージの評価はまだ終わっていない」(2月22日の記者会見)と逃げの一手であった。

 戦争、戦闘行為は組織的な殺人行為である以上、「戦死者ゼロ」 はありえない。イラク当局の発表(2月17日)によれば、この空爆での人的被害は、2名が死亡、負傷者は20名以上であった。

 米軍側の「戦死者」はこの空爆では確かに「ゼロ」であったが、 その1箇月後の3月12日夜間には、「サザン・ウォッチ作戦」 (今回の空爆はこの作戦のルーティンな爆撃の一環と米側は説明している)のための演習中、「誤爆」が発生、米軍人ら6名が死亡、 7人以上が負傷するという事態が発生している。これはイラク国境に近いクウェート北部で行われた米・英・ニュージーランド・クウ ェート軍による合同演習の際に、米空母「ハリー・トルーマン」から発進したF/A18ホーネット機が目標を誤って500ポンド爆弾を投下したことによっておこったことであった。

 ブッシュ大統領はこの日のフロリダ州のスピーチでまた黙祷を捧げねばならなかった。

               松尾 高志
2001.3.25記

 

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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