ブッシュ新政権の国防政策全面見直し(4)(01/3/25)

 ブッシュ新政権の初の武力行使であった2月16日のイラクへの空爆について、ホワイトハウスのフライシャー報道官はその実施にあたっては、その前日、15日(木曜日)の「朝に大統領がオーソライズし、午後には報告を受けた」と訪問先のメキシコで述べている。また、イギリスの国防省発表によれば、その週の初めにフーン国防相が米側に承認を与えていた。

 この「ナショナル・セキュリティ・ウィーク」のウィーク・エン ドの軍事力行使について、興味深い点が3点ある。

 その第一は、この爆撃をペンタゴンは一貫して、「自衛措置」だと主張していることである。それは、今年に入ってから、「飛行禁止区域」をパトロールしている米英の航空機に対して、イラクが地対空ミサイルの照準をあわせ、また、レーダーを照射する回数が激増してきており、対空砲火も過去6週間に51回、地対空ミサイルの発射も14回にのぼるに至ったので、その航空機とパイロットへの「脅威」が増大した、このためこれに対処するものであるというロジックである。

 「サザン・ウォッチ作戦」と称して、米英軍が実行している、この「ルーティン」の作戦行動は、湾岸戦争終結後の92年8月にシーア派イスラム教徒の「保護」のためとして、旧ブッシュ政権がイ ラク軍の航空機の「飛行禁止空域」を宣言して、パトロールを実施し、恒常的に偵察、監視、爆撃を行っているものである。この「飛行禁止空域」というものはどの国連安保理の決議にも明記されているものでもなく、イラク側は「主権侵害」であるとして、認めていない。

 こうした作戦を実施している航空機とパイロットの「安全」を確保するための「自衛措置」であるとペンタゴンは主張しているのである。この意味で今回の空爆は「戦死者ゼロ・ドクトリン」のブッシュ政権としての表明ということであった。

 第二は、このことと関連して、空爆が長距離・精密誘導兵器によるピンポイント爆撃であったことである。米「ワシントン・ポスト」紙(2月17日付)によれば、F15戦闘機から発射されたのは 「AGM-130」誘導爆弾であり、これはGPS(衛星を使用した位置測定システム)を利用した衛星誘導の精密爆弾で、99年のユーゴの空爆で初めて使用された最新兵器である。今回は最大で標的の 81キロメートル以上の距離から発射したという。また、AP通信 (2月23日報道)によれば、米空母「ハリー・トルーマン」から出撃したF/A18爆撃機から発射されたのが「AGM-154」精密誘導爆弾(JSOW=統合スタンドオフ兵器)であった。

 従って、米英軍は「飛行禁止空域」から出ることなく、バクダッ ドの北方に位 置するイラクの防空システムに対する爆撃を実施できたのであった。

 ペンタゴン高官が「16日は次世代の照準補正器付き精密誘導兵器がデビューした日として記憶される」と述べたと「ワシントン・ ポスト」紙(前出)は報じている。このピンポイント爆撃もブッシュ大統領が現在、すすめている軍事戦略の包括的な見直しの目玉 の 一つである。

               松尾 高志
2001.3.15記

 

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