ブッシュ新政権の国防政策全面見直し(3)(01/3/15)
さて、12日(月)からの、この週は ブッシュ新大統領自身の言葉で言えば「国家安全保障問題に焦点をあてる週」(2月10日
のラジオ演説)であり、ペンタゴンのクイグリー報道官によれば 「大統領の国家安全保障週間(national
security week)」(2 月13日の記者会見)であったのである。
それで、ブッシュ大統領は月曜日から水曜日にかけて、3個所の基地を巡回して、国防演説をしてまわったのである。
では、木曜日の15日はどこへ行って、何をしたのか?
彼は国務省を訪問して、パウエル国務長官をはじめとする国務省首脳と外交政策について協議したのであった。パウエル国務長官はこの時、23日から26日にかけて、中東(エジプト、イスラエル、パレスチナ自治区、ヨルダン、サウジアラビア、クウェート)を訪問し、カイロではロシアのイワノフ外相と会談、クウェートでは湾岸戦争勝利10周年式典(25日)に参列し、帰路にはブリュッセル(NATO
本部)を訪問することが決まっていた。
ブッシュ大統領は国務省で次のようなスピーチをした――
「外交政策はわれわれの死活的な国益とわれわれの至高の理想に奉仕するものである。われわれはヨーロッパとアジアの民主主義的な友好国と同盟国と密接にやっていかねばならない。ロシアと中国への関与をしていかねばならない」。
そして、週末の金曜日、米東部時間で16日午前10時20分から約2時間半にわたって、イラク空爆を敢行したのであった。これはブッシュ新政権としては初めての軍事力行使である。
空爆は地上航空基地から出撃したF15戦闘爆撃機、ペルシャ湾に展開中の空母「ハリー・トルーマン」から出撃したF18戦闘機など米英両軍の計24機が爆撃、その他の航空機も随伴して、ジャミングなどを実施して行われた。標的となったのはイラク軍の防空通
信システム関連の5施設であり、バクダッドの北方に位置する施設も含まれていた。これは「サザン・ウオッチ作戦の通
常任務の一 環」であり、「自衛措置」であるとペンタゴンは主張した。
しかし、米英軍が設定した「飛行禁止空域」外の首都近郊に爆撃を加えたのは、1998年12月の大規模空爆「デザート・フォックス作戦」以来のことで、ペンタゴンのスポークスマンは今回の空爆は大統領の許可が「交戦規則(ROE)」によって必要とされるミッションであったと認めている(2月16日のクイグリー報道官の
特別記者会見)。この空爆がブッシュ大統領が直接に関与して実施されたということを見逃してはならない。
この文脈からすると、今回のイラク空爆はブッシュ新政権は「やる時には、躊躇することなくやるぞ」というシグナルを実際に軍事力を行使することによって、鮮明にデモンストレーションするとい
う意味をもっていたわけである。
いかにも「ナショナル・セキュリティ・ウイーク」をしめくるるにふさわしい空爆であったと言えるであろう。
松尾 高志
2001.3.7記
この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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