ブッシュ新政権と日米安保のゆくえ(01/2/5)
ブッシュ新政権が1月20日にアメリカで誕生した。マスコミ各紙はその対日外交の予測、特に安保問題でどのような対日要求が出てくるのか、それぞれ占っている。論調はおおむね、日本に対しては安保問題で厳しい要求をしてくるだろう、という点で一致してい
る。
この中で、注目されるのが「産経新聞」(1月22日付)の古森ワシントン特派員の「対等な日米同盟強調」とのタイトルの論評である。彼は次のように問題の本質をとらえている――
○ブッシュ新政権の登場は日本に対し対米関係の再構築、とくに 日米同盟の新たな定義づけのための戦後でも最重要な機会を生むこととなった
○日本が対外自主性や自国アイデンティティーを強化することも歓迎するとし、日本にとっては期せずして戦後の特殊国家のカラを破るかどうかの試練まで迫られるという展望も明確となってきた
○日米同盟の強化では新政権は日本側が戦後の安保面での固有の規制を超えることを期待するという方針を明確にしている
○日本が米側の期待にどう応じるかは、日本にとって「戦後の特殊な軍事忌避の一国平和主義のカラを破れるか否かという安保政策での歴史的な分岐点(アワー元国防総省日本部長)」として注視されている
この論評は昨年「ワシントン・クオータリー」(00年秋季号)に掲載されたキャンベル元米国防次官補代理の「米日安全保障パートナーシップの活性化」とのタイトルの論文とあわせ読む時、重要なポイントをついている。
キャンベル氏は新ガイドラインに至る日米安保の再定義は「中級官僚」の手になったもので、現在、必要なことは、広範で持続的な戦略対話の開始である、としてこう述べている――
「戦略対話のプロセスは官僚を超えて拡大され、主要な政治家や影響力のある世論形成者も含まれなくてはならない」
こうした文脈で今年にはいってから、日本側で相次いで、以下のような動きが出ていることを注視する必要がある。
○1月11日。衛藤征士郎外務副大臣が記者会見で、米新政権は日本により多くの責任、負担を求めてくるだろう。受け身になってはならない。こちらからアプローチする必要がある」として、河野洋平外務大臣の下に、日米関係を協議するための官民合同のチームを作りたいとの考えを示した(「毎日新聞」・1月12日付)
○1月17日。「産経新聞」が、森喜郎首相は16日、ブッシュ新政権の誕生を機に日米同盟関係を強化するため、日米の有識者による「安全保障賢人会議」(仮称)を近く設置する方針を固めた、と報道。それによれば、岡崎久彦元駐タイ大使らを軸に人選の調整に入っており、北岡伸一、田中明彦両東大教授ら、米側からはアーミテージ氏やキャンベル氏の参加を呼びかける方針だという。
○1月22日。外務省が日米関係のあり方について有識者から意見を聞くために設置した「戦略的日米関係策定グループ」(座長・
北岡伸一東大教授)は、日米同盟強化に向け、日米安全保障政策の方向性などを話し合う両国有識者による会議の設置などを提言した。
これらの動きは、新ガイドライン路線の全面展開を予兆させるに十分である。時、折しも、改憲の策動がおおきなうねりとなりつつある。新ガイドライン路線のはらむ「戦後総決算」にどう立ち向かうのか、鋭く問われているのではあるまいか?
松尾 高志
2001.1.27記
この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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