日米安保体制の再々定義がはじまった(01/12/15)

 今次の臨時国会の最終日である12月7日、PKO (国連平和協力)法一部改正が可決され、成立した。


 これは事実上の防衛庁広報紙「朝雲」(11月29日付)が正しく「初の戦時後方支援」と一面トップの見出しで報じた「テロ対策」特別措置法に基づく自衛隊の作戦の実施要項が決定され、中谷防衛庁長官が派遣命令を発出したのと同じ11月20日に閣議で決定されてから、わずか22時間余の審議で処理されたものである。


 その形式は一部改正とはいうものの、内容は抜本改定とも言うべきもので、これまで凍結されてきた「本体業務」を解除するもので、PKO(平和維持活動)はこれにより、PKF(平和維持軍)に変身することとなった。加えて、自衛隊の武器使用権限が「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」に対しても対象としうるよう拡大されもしている。「グローバル・スタンダード」への一層の接近である。


 9月11日の米中枢同時テロ発生以来、ブッシュ米大統領の言うところのアメリカ合衆国の「新しい対テロ戦争」に参戦する「テロ対策特別措置法」の制定、そして今回の「PKO法一部改正」の成立と矢継ぎ早にきな臭い事態が進行している。次いで、来年の通常国会には「有事法制制定」のための法案が提案されることとなろう。12月6日、福田官房長官は記者会見で「有事法制は放置できない課題である。来年、なるべく早く、この問題を国会で議論していただく必要はあると思っている」と言明した。また、「今回の(米国での)テロ事件もあった。いったん事があった時どうするか、とい
う態勢を何か起こってからやるのではなく、あらかじめ準備しておくべきだという考え方はその通りだ」と述べて、法案の「意義」を強調もしている。


 これらの事態をどう認識すればいいのだろうか。筆者の仮説は日米安保体制=日米同盟の「再々定義」が実践的に遂行されつつあるということである。


 90年代半ばに日米安保体制は「再定義」され、新しい日米同盟体制=新しい日米安保体制が構築された。「新ガイドライン路線」である。もはや直接に日米安保条約だけには基づかない日米同盟体
制に転位したのである。しかし「周辺事態法」が内閣法制局の集団自衛権の行使を認めないとの憲法解釈により、日米両軍部を中核とする同盟推進勢力にとって不満足な結果となったため、日米安保体
制の「再々定義」をするべきだとの動きが始まっていた。まさにそのプロセスで米中枢同時テロが発生し、それを引き金として、それが「議論・協議」のレベルではなく、実践のレベルで着手、推進さ
れはじめたのではないかとの認識である。


 日米同盟推進勢力のプログラムは「有事法制」法制化の次にはなんらかの名称の国防「基本法」の制定である。また、PKO法の更なる抜本改正もある。こうした目論みは日本政府が内閣法制局の見解
の変更を直接にすることなく、集団的自衛権の行使を可能とする日米同盟を構築することにある。これは日本の国家を「戦争遂行可能国家」に改造することにほかならないと考える。


 小泉首相のこれまでの憲法議論を意図的に破壊する「常識」論によるニューファッションに正面から立ち向かうことが肝要な時ではないだろうか。

 

01/12/7記
松尾 高志

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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