自衛隊法改正の問題点(続)――武器使用権限の拡大(01/11/5)
ブッシュ米政権の実施している「21世紀最初の戦争」に、自衛 隊を海外「派兵」して、加担・協力させる諸法案で、見逃すことが できないのが、自衛隊の武器使用権限の拡大がある。
特にこれが顕著なのが自衛隊法改正である。これは前回も指摘し たことだが、この新しい措置は今回の対テロ戦争に限定されず、将 来にわたってのものである。また「海外派兵国家」の対内防護シス
テムの整備強化なのである。
その第一は、「治安出動」命令下で、自衛隊が作戦行動する際の 武器使用についてである。これまでは、あくまでも警察官職務執行 法を準用して、その枠内に止めていたが、今回は新たに「ハ 小銃、
機関銃(機関けん銃を含む。)砲、化学兵器、生物兵器等の武器を 所持し、または所持していると疑うに足りる相当の理由のある者による暴行または脅迫を鎮圧または防止する場合」を追加した。
第二は、新たに「治安出動命令下令前」におこなう「情報収集」 活動の際に、「自己又は自己と共に職務に従事する隊員の生命また は身体の防護のためにやむを得ない必要があると認める相当の理由
がある場合」に、「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度 で武器を使用することができる」こととした。治安出動命令が下される前から、武器が使用できることになったのである。
第三は、新たに設けられた「警護出動」に際してのものである。 これは有事と平時の間のグレーゾーンに軍事力行使権限を拡大した ものであるが、そこでの自衛隊の作戦行動を実施する際に、警察官
職務執行法の準用に加えて、「職務上警護する施設が大規模な破壊 に至る恐れのある侵害を受ける明白な危険があり、武器を使用する ほか適当な手段がないと認める相当な理由があるときは、その事態
に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用できる」とした。 そして、この結果として人に危害を加えたとしても、「違法性が阻 却される」(=罪に問われない)としたのである。
この防護出動の新設により、自衛隊はこれまで弾薬庫など限定さ れた防護対象でしか実弾を装填して警護できなかった態勢から、大きく踏み出して、自衛隊基地を防護する際にもそのことを可能とす
るに至ったのである。もちろん、この警護出動の新設の「名目」が 新たに米軍基地防護も可能するためのものであったのだが、それに便乗して、このことを可能としたのである。
最後に、これは時限立法であるが、「テロ対策特別措置法」にお ける自衛隊の武器使用の問題がある。これは自衛隊が、アメリカ合 衆国の実施している戦争=「オペレーション・エンデュアリング・
フリーダム(不朽の自由作戦)」の一構成要素として参戦して、自 衛隊が海外に展開して、海外で武器を使用する際の権限である。
これまでの自衛隊の海外「派遣」による海外(外国)における武器使用は、
(1)在外邦人等の輸送作戦
(2)「周辺事態」にお ける後方地域捜索救助活動
(3)PKO協力法での平和維持活動
の 三種類であったが、今回の「アメリカ有事」にともなう海外「派兵」 の際には、自己防護、現場/職務を共にする自衛隊員の防護に加え て、「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」の防護の
ためにも武器を使用することが可能となった。(1)の場合の「保 護下に入った邦人若しくは外国人」、(2)の場合の「自己と共に当該職務に従事する者」、(3)の場合の「部隊参加の自衛隊員以
外の協力隊員」に比較すれば、武器使用によって防護する対象が拡 大されたことは明白である。
「ベトナム戦争」時には基地提供、「湾岸戦争」時には基地提供 に加えて軍資金支出、そして今回の「新しい種類の戦争」時にはこれに加えて自衛隊=非戦闘部隊の参戦である。自衛隊が海外で武器
を使用する事態が生起することが前提とされることになった訳である。
われわれは、日本が「海外派兵国家」に大きく踏み出す事態となったことを銘記しなければならないのではないだろうか。これは仮想/予想ではなく、これは現実/本番なのである。
01/10/28記
松尾 高志
この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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