軍事緊張高まる中での自衛隊派兵(01/11/25)

 「戦争の最初の犠牲者は真実である」という言葉がある。ラムズ フェルド米国防長官はこの言葉を引用して、今回は違うと述べたが、しかし、本紙(平和新聞11月15日付・第1面)が報ずるところによると、この言葉はやはり正しいと言わなければならない。佐世保平和委員会の山下氏は次のように述べている――

(戦争が始まると)「まず、「情報統制」が始まりました。海上保安庁も海上自衛隊も、入出港する船の問い合わせを拒否し始めました。原子力潜水艦の入出港についても、事前公表をしなくなりました。弾薬の陸上輸送についても、自治体に公表させないようになりました」と。

 戦争は真実を犠牲にすることによって遂行されるのである。今回の戦争はこれまでと違って「見えない戦争だ」とパウエル米国務長官が言明したが、 これまでの戦争でも真実は見えなかった(情報は統制されていた)し、一層それが強化されているのが今回の「新しい事態」の一つの特徴なのである。

 アフガニスタンで「見せない」戦争が遂行されている中、日本本土および周辺海空域では、「見せる」疑似戦争行為である軍事演習 が展開されていることに注意を喚起しておきたい。

 まず、11月4日から11日まで、平成13年度海上自衛隊演習 (海演・実動)が日本周辺海域で実施された。この演習は米海軍との日米共同演習も含まれており、米海軍ではこれを「アニュアル・ エクササイズ2001」と呼称している。海演の参加部隊は谷自衛艦隊司令官を統制官に、自衛艦隊、各地方隊などから護衛艦、潜水艦、掃海艦など約80隻と、P3C哨戒機、SH60J哨戒ヘリな ど航空機約180機とほぼ昨年並みの規模である。日米共同演習に参加する米第7艦隊の部隊は駆逐艦など2隻で、対潜戦、対空戦、 水上打撃戦などを実施する。

 次いで、11月5日から13日にかけては、北富士演習場(山梨 県)で、在沖海兵隊の実弾砲撃演習が平常どおり実施された。さる 10月12日に記者会見した在沖米海兵隊トップの在沖米四軍調整 官のウォレス・グレグソン中将は、9月11日のテロ事件発生後、 在沖海兵隊は沖繩を含むアジア地域内で通常訓練を重ねていることを説明するとともに、在沖海兵隊は「日本を含むアジアの安定維持 が任務である」と述べ、主要部隊はアフガニスタン攻撃作戦には直接参加せず、ノーマルな態勢にあることを言明していた(「沖繩タ イムス」・10月13日付)。

 さらに、11月12日からは二つの日米共同演習が開始された。 一つは陸上自衛隊第第11師団と米海兵隊第3師団の演習で、北海道の北海道大演習場と真駒内、東千歳両駐屯地を使用して、26日 まで実施される。これには日本側から第10普通科連隊(滝川駐屯 地・北海道)基幹の人員約750人、米側からは兵約650人が参加し、対ゲリラ・コマンド戦を想定した市街地戦闘訓練なども実施 する。

 もう一つは航空自衛隊と米第5空軍、米海兵航空団との「コープ ・ノース01」演習である。これは18日までで、沖繩周辺訓練空域で実施されている。日本側からはF15戦闘機、F4戦闘機、E 767空中早期警戒管制機が、米側からはF15戦闘機、F/A1 8戦闘攻撃機、E3早期警戒管制機が参加している。使用基地は那覇、嘉手納、普天間各航空基地である。

 加えて、11月19日から30日にかけては、日向灘で海上自衛隊と米第7艦隊との日米共同掃海特別訓練が予定されている。

 こうした軍事環境の中、自衛隊は戦後初めての戦時海外派兵をしていくのである。日本周辺もまた軍事緊張が高まっていることを見落としてはならない。

 

01/11/17記
松尾 高志

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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