「関係幹部会議」の登場(01/10/5)

 米中枢同時テロに対する防衛庁の対応で、見逃すことのできない 事象があるので、このことについて記することにする。

 それは「関係幹部会議」の存在である。この会議体が表面に出て きたのは今回が初めてである。どのような性格のものなのか?

 テロ発生以降の防衛庁の対応を事実上の自衛隊の機関紙「朝雲」 (9月20日付)でフォローしてみると(日本時間)――

 ツインタワー・ビルに2機が激突した直後、ブッシュ米大統領が 「テロだ」との記者会見をしたのが午後10時20分。その10分 後、インドネシア訪問中の中谷防衛庁長官に第一報が入り、中谷長 官は情報収集を指示。追って、その10分後(10時40分)、中 谷長官は中央指揮所の勤務態勢強化と警備態勢の強化を指示してい る。そして、官邸連絡室が官邸対策室に格上げになる10分前の1 1時20分に中谷長官は「関係幹部会議」の召集を守屋官房長に指 示した。その後、11時30分、自衛隊は最高度の「自隊防護」の 態勢に入った。これは在日米軍が最高度の部隊防護態勢=フォース ・プロテクション・コンディション=デルタに入ったのとほぼ同時 であった。

 関係幹部会議が開催されたのは深夜、翌12日の午前1時。開催 場所は明かにされていないが、萩山防衛庁副長官、政務官、事務次 官、内局幹部、ミリタリー4トップ(統合幕僚会議議長、陸・海・ 空各幕僚長)、それに加えて防衛施設庁長官(在日米軍関係)が召 集され、これまでの中谷長官の指示をオーソライズし、対策の徹底 指示を図っている。

 この関係幹部会議の第2回会議は、中谷長官が帰国後の9月13 日午後5時30分から、安全保障会議の開催後に、防衛庁の中央指 揮所内の「防衛会議室」で開催された。参集者は中谷防衛庁長官以 下、副長官、政務官、シビリアンから事務次官、官房長、防衛局長、 運用局長、ミリタリーから統合幕僚会議議長、陸・海・空各幕僚長、 そして防衛施設庁長官である。ここでは情報本部から情報報告、運 用局長、ミリタリー4トップから自衛隊としての対処報告、防衛局 長からアメリカとの連絡・調整、米軍基地の警備状況報告が行われ、 防衛庁としての今後の対応について協議した。

 この会議体に注目するのは、今回の事態がまさにリアルタイムで の「非常事態」であった中でそれが開催されたことである。これは 演習ではない。関係幹部会が防衛庁の最高意思決定機関として機能 していたことが重要である。

 これが、「有事」の場合は、開催場所(中央指揮所内・防衛会議 室)の名称どおり、「防衛会議」であったろう。これまで、防衛庁 では「有事」の際の自衛隊の行動に関わる意思決定プロセスは不透 明なままであった。それが重要事態対応会議(これは「不審船」事 件の時、機能した)などの手順をふんで、確立されるに至っている ことが今回、明かになったということが言えよう。

 まさに自衛隊は「働く時代」に入っているのである。小泉首相は 今回の事態で、自衛隊の海外「派遣」を海外「派兵」に切り替えつ つある。事態の推移を精確に見据えることが必要であろう。

 

01/9/27記
松尾 高志

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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