自衛隊法改正の問題点 ----[警護出動]の新設の意味するもの(01/10/25)

 今回のアメリカのブッシュ政権が遂行している「あたらしい種類 の戦争」に参加、協力するための法案が現在、国会で審議されてい るが、この中で、自衛隊法の改正について、一つの問題点を指摘し ておきたい。

 それは、この自衛隊法の改正は、今回のテロ対処戦争への参加、 協力という目的と期限が限定されている新規立法(「テロ対処戦争 加担法案」)と違って、そのような目的も限定もないものであると いうことである。

 言い換えれば、防衛庁は、この機に乗じて、懸案であった「警護 出動」という新たな自衛隊の行動の権限を獲得しようとしていると いうことなのである。これによって、自衛隊は「防衛出動」、「治 安出動」に加えて「警護出動」という任務を付与されることになる。

 これは新ガイドライン路線にもとづくものである。というのは新 ガイドラインでは自衛隊の任務として、「ゲリラ、コマンドウ対処」 を新たに加えていた。防衛庁ではこれに対処するためには、当時の 用語でいえば「警備出動」の新設を企図していたのである。それが 実現できずにきていた。これが今回、「警護出動」と名称を変えて 実現されようとしているということなのである。これは「不審船」 事件の時に一回浮上したが、今回のテロ事態まで潜伏していたので ある。

 事態で言えば、平時と有事(周辺事態と日本有事)の狭間のグレ ーゾーンをカバーするものであると言える。

 治安出動命令ないし治安出動待機命令を下令するのにはかなり厳 しい条件があり、自衛隊からするとそれをクリアするためには「敷 居が高い」ものだったのである。そこで、「敷居を低く」して、言 わば、警察行動と軍事行動の狭間のオペレーションを実施しうる権 限を得ようとしているということなのである。軍事権限の拡大と言 っていいであろう。

 再び強調するが、これは今回の参戦の事態に限られない。今後の 自衛隊の行動全体に新たに権限を付与しようとするものなのである。

 また、付言すれば、この自衛隊法改正は平時にも、自衛隊基地、 在日米軍基地を防護するために武器の使用権限を与えようとしても いる。

 今、自衛隊の海外「派遣」から、海外「派兵」へと、防衛政策の 転換がはかられようとしているが、それにともなって、また、それ に便乗して、海外派兵国家としての国家防護体制の構築をはかろう としていると言っていいであろう。「戦争」を遂行し得る国家シス テムに転換するプロセスに現在はある。そうした国家としての対内 体制の構築を図ろうとしているのである。

 戦争当時国としてのアメリカ合衆国のオペレーション(軍事行動) は二つ――国内テロ対処作戦(ノーブル・イーグル)と対外テロ対 処作戦(エンデュアリング・フリーダム)である。これにひきよせ て言えば、日本もこれと同じオペレーションのパターンをとろうと しているということである。

 だが、自衛隊法改正は今回の事態に限定されていないということ、 これが看過しえない問題点である。

 

01/10/7記
松尾 高志

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
平和新聞の購読希望者は03(3451)6377までお問い合わせください。


HOME | 安保ウォッチング | 平和のための戦争展 | 鎌倉市平和委員会 | 平和資料 | ゲストブック

peace-kanagawa.org
since 1999.5.7