自衛隊業務計画案とIT革命 (00/9/15)

 いま「IT革命」という言葉がこのところ氾濫している。「IT」と は「インフォーメーション・テクノロジー」の略語、「IT 革命」 とは「情報通信技術革命」というところか。

 小淵首相の死去にともない、それにかわって登板した森首相が沖 繩サミットの主要テーマは「IT」だと位 置づけたのが、政治上での 「IT革命」という言葉の登場だった。森内閣は今年7月7日に「情 報通信技術(IT)戦略本部」なるものを閣議決定して立ち上げた。 本部長は内閣総理大臣、中川官房長官が「IT担当大臣」を兼務して、 その副本部長に、郵政大臣、通産大臣とともに就任した。本部員は 全閣僚である。そして同日、森首相すなわち「IT戦略本部長」は 「官民の力を結集して、戦略的かつ重点的に検討を行うため」、民 間人からなる「IT戦略会議」なるものを設置した。そして、サミッ トでは参加国が日本政府の顔を立てて、「IT憲章」なるものを発出 した。来年度予算の概算要求(8月末締切)では、各省庁は「IT」 のラベルを貼った「新政策」のための予算要求を積み上げている。

 防衛庁では、「IT戦略本部」の「部員」たる防衛庁長官の下、絶 好のチャンスとばかりに、これまで進めてきた「C4」関連の施策 を「IT」なる看板に塗り替えて大々的に推し進め始めている。「C 4」とは「コマンド(指揮)、コントロール(管制)、コミュニケ ーション(通信)そしてコンピュータ」のことである。

 まず、IT担当参事官なる局長クラスのポストを新設した。初のIT 担当参事官は西川徹矢氏が昇格して6月30日付で就任した。西川 新参事官の下には「IT参事官室」を新たに設け、内局、陸海空各幕 僚監部の制服組幹部10人程で構成することとなった。現在、安全 保障会議で審議中の次期中期防衛力整備計画(次期防、2001〜 2005年度)の「柱」にすえた「情報・指揮通 信システム」強化 の一環として、防衛庁ではこの措置を位置づけている。

 8月31日に庁議で決定し、大蔵省に提出した来年度の業務計画 と概算要求では「新たな時代における防衛力の整備」とのタイトル のもと、「IT革命への対応」をトップに掲げている。そこにはこう 書かれている――「IT の急速な進歩・普及により、軍事面でもIT 化が急速に進展していることを踏まえ、防衛庁・自衛隊におけるIT 化が必要。このため、防衛庁・自衛隊全体を通じた高度なネットワ ーク環境の整備と指揮通 信機能の強化を図るとともに、コンピュー ター・セキュリティの確保を図る」(「朝雲」新聞、8月31日付) 。具体的には、予算の特別枠である「日本新生特別枠」の「IT 革命の推進」分も含めて、(1)防衛情報通 信基盤(DII)とコン ピューターシステム共通運用基盤(COE)の整備、(2)中央指揮 システム、海上自衛隊指揮管制支援ターミナル(C2T)、航空自 衛隊航空総隊指揮システムの各整備と陸上自衛隊基幹連隊指揮統制 システムの開発、(3)コンピューター・セキュリティの確保など をリストアップしている。

 軍拡がハードとソフトの双方で推進されていることをつとに指摘 してきたが、このことのトータルな分析がいっそう重要になろう。

松尾 高志
2000.9.7記

 

 

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