「新ガイドライン次期防」策定が本格化 (00/5/25)

 防衛庁は5月9日、「次期防」の最高幹部による検討会議の初会合を開き、新ガイドライン路線の日本政府としての軍事面 における推進にむけて一歩を踏み出した。

 「次期防」とは、01年(平成13年)から05年(同17年) までの5年間の「中期防衛力整備計画」のことで、英語では軍事力のbuild up programm(増強計画)と表現されているものである。 今回の「中期防」は新ガイドライン合意以来、初のものとなる。

 検討会議は瓦防衛庁長官以下、政務次官(政治家)、事務次官、 各内局局長(シビリアン)、統合幕僚会議議長、陸・海・空各幕僚長(ミリタリー)らの防衛庁のトップで構成されており、2月から進めていた事務的な準備会を格上げしたもので、今後、月に1〜2 回の会合を重ね、年末に閣議決定する方針である。これと並行して、 内閣の安全保障会議でも6月から次期防をめぐる協議が開始される。 山場は8月の来年度予算の概算要求の策定時期までである。

 次期防策定にあたり、瓦防衛庁長官が初会合で、「従来の施策の単なる延長に陥ることなく」「最適な防衛力整備を目指したい」との考えを強調したことは重要なポイントである。

 というのは、最初に記述したように、これが新ガイドライン路線を軍事力増強面 で推進する軸となるからである。

 「従来の単なる延長ではない」ことの、ひとつの重要な現れは、 瓦防衛庁長官が5月3日朝に行なわれた、訪問先のシンガポールのホテルでの同行記者団との懇談の席上、この次期防の策定にあたっては、アメリカと協議して進めるとの方針を明かにしたことである。 日本の自衛隊の増強を計画的に進める「中期防」について、これまで、公然と対米協議して策定するなどと表明した防衛庁長官はいない。瓦力氏が史上、初めてである。瓦防衛庁長官は、アメリカの4年ごとの国防計画の見直し(QDR)と次期防開始が来年で重なることを指摘した上で、「防衛力整備の方向性について、両国で意見を擦り合わせる時期にきている」との認識を示している(「産経新聞」 5月4日付)。

 これは、防衛計画の新大綱が、新ガイドライン路線の一環として、 対米協議の上、策定された(1995年)こととも密接に関係して いる。

 「安保再定義」のプロセスで、日米両国の外交・軍事官僚は新ガイドラインに結実した平素からの協力、周辺事態への対応、日本有事への対応における米軍と自衛隊の間の運用面 での協力態勢について密接に協議してきたが、その延長線上に、今回、予算措置を伴う自衛隊の具体的な編成、装備についても密接に協議することとなったのである。

 自衛隊と米軍との間で共同作戦を遂行するうえで、「相互運用性」 を一層、高めるために、新ガイドライン路線を具体的に推進するために、次期防の策定のプロセスで米側の意向を具体的な形で計画にとりいれることをこのことは意味している。

 その意味で今回の中期防は「新ガイドライン中期防」と呼ぶべきであろう。次期防の内容の重要性はもちろんのこと、その性格についても正確に把握しておくことも必要であろう。

 

松尾 高志
2000.5.17記

 

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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