新ガイドライン路線の「中期防」(00/12/25)

 政府は12月15日に開催された安全保障会議(議長・森首相) とそれにつづく閣議で、2001年度から05年度までの5カ年間 の軍事力増強計画である「中期防衛力整備計画」(次期防、あるいは中期防)を決定した。

 期間中の軍事費の総額は25兆1600億円で、単純計算すると 1年当たり約5兆円強となる計画である。

 この中期防の最大の特徴は、新ガイドラインに沿った初めてのものであり、また、現在、ペンタゴンで策定中のQDR(4年ごとの 国防見直し)とリンクして決定されたということである。これまでの軍事力増強計画は形式的には日本政府が独自に計画立案していたが、今回初めて、ペンタゴンと協議して策定された。

 中期防の基本方針では、「日米安全保障体制の信頼性の向上を図る」と明記して、本文中では次の項目を挙げている

○アジア太平洋地域を中心に国際情勢について情報交換を強化し、防衛政策などの緊密な協議を継続する
○我が国に対する武力攻撃に際しての共同作戦計画の検討及び周辺事態に際しての相互協力計画の検討を含む日米共同作業を推進する
○日米共同演習の充実  
○日米共同研究など装備・技術面での幅広い相互交流

 この計画で新しく導入する兵器の中には、1万トンをこえるヘリ搭載護衛艦(この大きさでは「護衛艦」=駆逐艦の概念を超えているというのが国際軍事常識である)、空中給油機、長距離輸送機の 開発、新戦車の開発、哨戒機(P3C)の後継機の開発などが盛り込まれている。

 また、ゲリラ対処部隊の創設、核・生物・化学(NBC)兵器対処 能力の充実、IT(情報通 信技術)革命に対応した諸施策の推進などが特記されている。

 全体として、現在、ペンタゴンが推進しているRMA(軍事革命) に追従しようとしていることは明らかである。アメリカが「アジア太平洋地域」で推進しようとしている軍事戦略を補完し、それに防衛庁・自衛隊が能動的に協力しようという姿勢を強く打ち出したのが、今回の中期防であるといえよう。

               松尾 高志
2000.12.15記

 

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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