交戦規則(ROE)と治安維持協定改正(00/12/15)
12月4日、新ガイドライン路線にもとづく、重要な「行政上の措置」が二つとられた。
(1)「部隊行動基準の作成等に関する訓令」の制定とその作成指示
防衛庁は4日、この訓令を制定すると同時に、統合幕僚会議議長、 陸・海・空各幕僚長に、この訓令にもとづき、「部隊行動基準」を作成するよう指示した。この訓令は来年(2001年)2月1日か
ら施行される。
これは外務省がいったんはホームページに新ガイドラインの解説で掲載しながら、批判的指摘にさらされ、削除してしまった「ROE
=交戦規則」のことである。「ROE=Rules of Engagement」とは、 ペンタゴンの『軍事関連用語辞典』によると、「所管の軍当局によ
って交付された指令で、軍が遭遇した他の軍隊との戦闘交戦を開始及び(または)継続しようとする際の状況と制限について叙述してある」ものである。
これまで自衛隊は非公式、部分的にはこの種のものを作成していたが、周辺事態法の施行など具体的に武器使用することを想定した法令の整備が進んだことにより、今回、公式に、全自衛隊について、
また、「日本有事」をふくむあらゆるケースを想定して、作成することに踏み切ったものである。
(2)「治安出動の際の治安維持に関する協定」の改正
防衛庁は国家公安委員会との間で改正した協定を4日、締結した。 新協定の実施も来年2月1日からで、防衛庁と警察庁はこの協定にもとづき、その実施に関して必要な事項をとりきめる細部協定を締結することとなる。また、現地協定も各部隊レベルで締結されることとなる。
この改訂のポイントは、治安出動の対象を「暴動の鎮圧」から 「治安を侵害する勢力の鎮圧」に切り替えたことである。これは従来の「暴動」に、これまで想定していなかった「武装ゲリラ」など
への対処を加えたということであり、これに対しては自衛隊が対処することとなり、自衛隊の役割分担の拡大である。
また、もう一つの改訂のポイントはこれまで治安出動命令が発せられてからであった連絡員の相互派遣、治安情報の緊密連絡、通
信施設などその他の施設の利用などを「治安出動命令が発せられることとなる可能性のある事態が発生」した時点に引きあげたことである。
これは、新ガイドラインに新しく盛り込まれた次の条項を実施するための措置である――
「自衛隊はゲリラ・コマンドウ攻撃等日本領域に軍事力を侵入させて行う不正規型の攻撃を極力早期に阻止し排除するための作戦を主体的に実施する。その際、関係機関と密接に協力し調整するとともに、事態に応じて米軍の適切な支援を得る」。
新ガイドライン路線は「戦争遂行可能な国家体制」の構築であり、 本格的な「戦える自衛隊」への脱皮である。こうした憲法に対する露骨な攻撃が日本政府によって行われていることを許してはならな
い。
松尾 高志
2000.12.7記
この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
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