自衛隊、多国籍演習へ参加 (00/10/15)

 自衛隊がアジア・太平洋地域での多国籍軍事演習に踏み出した。

 10月2日から14日まで13日間の日程で、南シナ海・シンガポール周辺海域で実施される「パシフィック・リーチ2000」演習 (「西太平洋潜水艦救難訓練」)への参加がこのスタートとなった。

 この演習は、アメリカ海軍、シンガポール海軍、韓国海軍と海上自衛隊の4カ国海軍が実施するもので、潜水艦の遭難を想定して、深さ約100メートルの海底に沈没、航行不能となった潜水艦の脱出ハッチから乗組員を深海救難艇で救出する、という内容。4カ国からそれぞれの潜水艦のほか、韓国海軍と海上自衛隊からは潜水艦救難母艦(DSRV =深海救難艦を搭載)が、アメリカ海軍からは鋼製耐圧容器「レスキューチェンバー」が参加する。

 海上自衛隊からの参加は第2潜水隊群牧田司令官以下、約200人が、潜水艦「あきしお」(2、250トン)と潜水艦救難母艦 「ちよだ」(3、650トン)に乗り組み、派遣されている。これまで自衛隊は、政府の憲法解釈によれば集団的自衛権が行使できないことから、米国などとの二国間演習は実施しても、多国籍間演習には参加してこなかった。ハワイ周辺海域で実施されている多国籍演習「リムパック」に参加しているが、あくまでも米国との二国間演習という形式をとってきていた。今回、初めて、この「制約」をとりはらったのである。今回は「人道的活動が目的」のため集団的自衛権には「抵触しない」と防衛庁は判断して参加することとした (「読売新聞」10月3日付)と説明されている。

 防衛庁は今月中旬に日本で開催される「第5回アジア・太平洋地域防衛当局者フォーラム」の議題に「救難訓練の実施」を盛り込むことを検討している(「産経新聞」10月2日付)という。

 こうした自衛隊のアジア・太平洋地域での米国が主導する多国籍演習への参加という方針転換は、米国防総省(ペンタゴン)の意向 に沿ったものである。

 コーエン米国防長官が9月14日から9日間にわたってアジアを歴訪したが、ここでコーエン国防長官は「より多くの多国籍演習をこの地域で」という「アイディアを持ち込んだ」とペンタゴンの 「アメリカン・フォーシズ・インフォーメーション・サービス」 (9月29日付)は報じている。

 アメリカはアジア・太平洋地域における軍事的プレゼンスを維持しつづけようとしており、その形態として平時における多国籍演習、 有事における多国籍軍構想を推進しようとしているのである。 日本の防衛庁・自衛隊はこうしたペンタゴンの方向に沿うことによって日米軍事同盟関係をいっそう強化するとともに、アジア・太平洋地域におけるアメリカの軍事戦略への加担を進めようとしている。 これもまた新ガイドライン路線の実行にほかならない。

 軍事力による「平和」という思想は大きな時代の流れに逆流するものである。

 

松尾 高志
2000.10.4記

 

この記事は平和委員会が発行する平和新聞(月3回発行)に掲載されています。
平和新聞の購読希望者は03(3451)6377までお問い合わせください。


HOME | 安保ウォッチング | 平和のための戦争展 | 鎌倉市平和委員会 | 平和資料 | ゲストブック

peace-kanagawa.org
since 1999.5.7