日米防衛首脳会談と「調整メカニズム」

 年初早々に、日米防衛首脳会談が1月5日、ワシントンで、瓦力防衛庁長官とコーエン米国防長官により、約1時間、行なわれた。

 マスコミが沖繩の普天間基地問題を大きく取り上げている中でほとんど注目されなかったことは、「調整メカニズム」の問題である。 新ガイドラインで設立が合意されている二つの「メカニズム」のう ち「包括的メカニズム」は98年1月に立ち上がっており、「調整 メカニズム」も早急に立ち上げる予定であったが、諸般の事情―― この中には、日本政府部内の調整、米朝協議の推移もあると思われ る――で遅れているものである。

 今回の会談では、「調整メカニズム」を「早急に構築することで 両長官の認識が一致した」と「毎日新聞」(1月6日付)が報じ、 防衛庁の事実上の機関紙「朝雲」(1月13日付)は「構築のための事務的協議を急ぐこと」で一致したとしている。今後の立ち上げの手続きとしては日米安全保障協議委員会(2プラス2)の開催でということになろう。

 この「調整メカニズム」が具体的にどのようなものとして構築さ れるのかは、日本政府側からは全く説明がないまま推移してきてい る。情報がほとんど無いというのが現状である。こうした中で唯一、 具体的に記述したものが、日米安保再定義のプロセスにかかわった マイケル・グリーンとパトリック・クローニンが編集した「日米同 盟――米国の戦略」(勁草書房、99年9月刊)である。

 ここでは「一案」として、次のようなことが提案されている。

○新しい調整メカニズムは、日米安全保障協議委員会からくる命令を実行できるようなものとして設立されなくてはならない。同委員会は今後、その範囲をかなりの程度拡大していくことが必要になってくるだろう。

○これを達成する手段として、既存の安全保障事務レベル協議に従 属する組織として、同盟の事務局のような機関を設立することも一案である。事務局は日米の代表により運営され、安全保障事務レベ ル協議を構成する次官補と局長に従属する形態をとる。

○具体的には、アメリカ側の担当機関としては、国務省・国防省事 務局、統合参謀本部、米太平洋艦隊、在日米軍、そして陸・海・空 軍および海兵隊が想定される。日本側に関しては、防衛庁、外務省、 統合幕僚会議、陸・海・航空自衛隊の代表から構成される。それらのメンバーに加えて、アメリカの国家安全保障会議と日本の内閣官房で主宰する関係省庁連絡会議から代表を派遣することも一案であ る。

○事務局の設置場所としては、ハワイのキャンプ・スミスにある米太平洋軍司令部の本部への併置、あるいは東京にある防衛庁内か統合幕僚会議と同じ場所に設置することも考えられる。

 これがこのまま実現されるとは思われないが、大体の輪郭は想像がつくであろう。

 高度に政治的な問題であるので、慎重に準備を進めていると思われる。戦争遂行可能な国家システムの枢要な機関が創設されようと しているのであるから、「ガイドライン路線」との闘いの中で必要な目配りをしていくことが重要であると思う。

松尾 高志
2000.1.25


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